ぷにぷにパイレーツ

公演案内

旗揚げ公演 「第1回ぷにぷに祭り」

                     ~一人芝居オムニバス

ぷに祭りHP.jpg●日時:2007年12月16日(日)

14時・18時

●会場:シアターアンドカンパニーコレド

●CAST&STAFF
 作・演出・出演:石崎一気 
 出演:三浦ノン
 シタール演奏:Takasitar
 映像制作:長嶋浩恭
 撮影・照明:大宮敏
 撮影協力:北澤ボクシングジム

 

●上演作品
 「ぷにぷに俳優養成所」
 「バック・ステップ」
 「ドキュメンタリー映像」
 「Can You Celebrate?」
 「Takasitarソロ・ライヴ」
 「我が人生に悔いなし」
 「難波のクリスマス・キャロル」
 「アンコール」

 

■上演作品の紹介

「ぷにぷに俳優養成所」
記念すべき第1回公演の幕開けとなる作品です。
スタンリー・キューブリック監督の代表作「フルメタル・ジャケット」の前半部分のパロディを試みました。
映画では、ベトナム戦争のため、殺人者になるべく地獄の新兵訓練所で情け容赦なく鬼教官にしごかれ、徐々に人間味を失っていく若者達の姿が描かれています。
その設定を、現代日本の俳優養成所に置き換えてみると、実にしっくりきたんですね。
実際の「フルメタル・ジャケット」のハートマン教官のセリフをベースに、今の演劇界の異常性を笑い飛ばす作品に仕立て上げてみました。
もちろん、僕は俳優養成所の鬼教官役です。
相当ナンセンスで可笑しい作品になったと自負していました。

ところが、昼の部で上演したところ、クスリとも笑い声が起こりません。
それどころか、大半の女性のお客様が怯えておられ、必死に僕から目を逸らそうとされているのです。
僕が、ハートマンさながらに、怖く役作りをしすぎていたんですね。
夜の部では、少し怖さを押さえて演じてみたら、なんとか男性のお客様から爆笑が起こり、安堵した覚えがあります。

リアルに演じれば良いという訳ではないと、旗揚げの最初から学ばせて頂いた思い出の作品です。

 

「バック・ステップ」
夢が破れたボクシング・トレーナーの、切なく悲しい姿を描いた悲喜劇です。
不器用なあまり、相手のためにやっていることが裏目に出てしまいます。
でも、嫌われながらも(本人はそれに気付いてさえいないのですが)人のために必死で尽くす哀れな姿を演じてみました。

これも、リアルにやりすぎたようで、女性のお客様から「怖い」とか「気持ち悪い」といったご批判を頂戴しました。
ただ、男性のお客様からは「ジーンときた」「涙がこぼれて止まらなかった」という声もありました。
喜劇と受取った方もいらっしゃいましたし、悲劇と感じた方も多かったようです。
お客様個々人の人生経験によって評価が分かれる作品となりました。

見る人によって悲劇とも喜劇とも取れる作品こそ、僕が最も作っていきたいものです。

 

「Can You Celebrate?」
完全なるナンセンス・コメディです。

僕が、女性アイドルのコスプレで演じました。
登場した瞬間、バカ受けすると思ったのに、「ひええーーーー!」という悲鳴が上がってしまいました。
僕がお腹や太ももを露出したせいで、女性のお客様の多くは完全に引いてしまわれたんですね。
作品の中身以前に「気持ち悪い!」と拒絶されてしまったのです。

ですが、なかにはこの作品が大好きという方もいらっしゃるので不思議です。
お芝居をやっているフランス人のお客様は、最初から最後まで大声で笑い続け、帰り際に「フランスでこの作品を上演しても良いですか?」と僕に尋ねました。
そこで、僕は「上演するのは構わないが、やめた方が良い」とアドバイスしておきました。

 

「我が人生に悔いなし」
客演の三浦ノンさんに演じて頂きました。
僕が一番最初に書いた一人芝居の作品です。
コメディではあるんですが、人間の欲望渦巻くどす黒い世界を追及した社会風刺劇の要素が強い作品です。
いまだに、最も僕らしさが出た秀作だと思っています。

80代の老婆社長という難しい設定でしたが、ノンさんは頑張って役作りしてくれて、とても評判が良かったです。
随所に織り込んだギャグも、よく受けていました。

本番中、僕は楽屋でお客様の反応を聞いていましたが、本当に緊張しました。
劇が始まってしまうと、僕は何も出来ません。
まるで判決を待つ被告のような気分でした。
ご好評頂いて本当に良かったです。

 

「難波のクリスマス・キャロル」
この公演は基本的に喜劇ばかり並べていたので、友人から「1本ぐらいは泣ける作品を入れておいた方が良い」とアドバイスを受けました。
そこで、公演の40日ほど前に急遽書いたのが、この作品です。

公演が12月16日だったので、クリスマスをテーマにしようと考えました。
僕は、ディケンズの「クリスマス・キャロル」という作品が大好きなので、その翻案を試みました。
原作だと3人の精霊が登場しますが、上演時間の関係で1人にしました。
それも、過去・現在・未来の精霊ではなく、いわば永遠の精霊です。
舞台もロンドンではなく、あえて大阪・難波。
金貸しという設定は、そのまま闇金融に置き換えました。
かなりガラの悪い、大阪弁のスクルージ役です。

この作品は、思っていた以上に、感動を呼ぶことが出来たようです。
涙でマスカラが取れて、目の周りがパンダのように真っ黒になっている女性を何人か見かけました。

僕は自分のことを「コメディ作家」だと思い込んでいましたが、必ずしもそうではないということが分かりました。
次の公演では、様々なジャンルに挑戦してみようと思いました。