第2回公演「ぷにぷに夏の男祭り!」
●日時:2008年6月29日(日)
14時 18時
●会場:高田馬場ババチョップシアター
●CAST&STAFF
作・演出・出演:石崎一気
出演:古田秀幸、宮下洋一
シタール演奏:Takasitar
映像制作:石崎一気、Takasitar、
宮下洋一
映像出演:本間なごみ、池戸美香、
村岡正敏
照明:宮下洋一
●上演作品
「偽装疑惑」
「第1回ぷにぷに映像アワード~"嘘つき爺""ぷにぷにの真実""嘘つ機"」
「ひまわり」
「ブログの天使」
「わが星」
「アンコール~なまはげ様」
■上演作品の紹介
「偽装疑惑」
この時期、有名料亭や土産物店、高級ブランド素材などで食品偽装事件が相次ぎました。
また、偽装は食品業界に止まることなく、英会話学校や人材派遣など各種企業、ひいては政界、財界、学会など、すべてのジャンルに及んでいました。日本は、いわば"偽装天国"なのです。
この「偽装疑惑」という作品は、日本人の偽装体質の元凶はどこにあるのかを探った、社会風刺パロディ劇です。偽装が発覚した小劇場劇団の座長が、新聞記者達から厳しく糾弾される様を、面白可笑しく描いてみました。
本当に軽いコントだったんですが、お客様は喜んで下さったようです。「ただ可笑しいだけでなく、上手く時代を切り取っていた」と評価された方も沢山いらっしゃいました。この作品をきっかけに、今後も社会風刺劇を追求していくことを決意しました。その成果が、第4回公演となって結実することになります。
なお、「偽装疑惑」は、ぷにぷにパイレーツ始まって以来最大となる、4人の出演者で構成された作品です。配役は以下の通りです。
座長:石崎一気
専務:古田秀幸
記者A:宮下洋一
記者B:Takasitar
「ひまわり」
第1回公演のアンケートに、「"夢を諦めない"というテーマの作品を上演して欲しい」というご意見がありました。そのご希望にお応えするために書いた作品です。
上演が初夏でしたので、夏の海辺を舞台に郷愁を感じさせるものを考えました。僕が、まず最初に思いついたモチーフが"ひまわり"だったんです。
"ひまわり"にまつわる作品にすると決めた途端、ストーリーはすぐに出来上がりました。上演時間20分の中篇ですが、確か半日で書き上げた筈です。
初稿ではもう少しロマンチックだったんですけど、徐々に夢を追いかける方にテーマがシフトしていき、最終的にはストイックなキャラクターになってしまいました。
上演した直後は、その前後で上演した「偽装疑惑」「ブログの天使」のインパクトが強かったせいか、「"ひまわり"も面白かったよ」という程度の反応でした。しかし、時間が経つにつれて「"ひまわり"良かったよね」という声が大きくなってきているように思います。
お客様の中で発酵し成長する作品なのかも知れません。
いわゆる悲劇や喜劇は、上演が終った時点で完結してしまうものです。しかし、上演終了後もお客様の中で独自の発展を遂げていくキャラクターともあるのだなあと発見させられました。今後も、そんな魅力的なキャラクターの創出を心がけたいと思います。
(この作品は、第3回公演「わしらはみんなぷにぷにじゃけん」でも上演しました)
「ブログの天使」
夏の公演なので、怪談をやることは最初から決めていました。
ただ、「ワー!」と大声を出してビックリさせるようなコケオドシは、絶対に嫌でした。そこで、ジワジワ後から怖くなるような、心理的にプレッシャーをかける作品を作ることにしました。
この作品のコンセプトは、とにかく動かないということです。演者は椅子に座ったまま、ほとんど動きません。最初の10分間は、せいぜい数回、首の向きを45度ほど動かすだけです。椅子から立つのも、30分の上演時間の中で、2回だけです。台詞回しも可能な限りゆっくりで、しかも声のトーンを絶対に変えないことに留意しました。目先の変化ではなく、体内に気をしっかり溜めて、そのコントロールでお客様を退屈させることなく魅了出来るか、挑戦してみたかったのです。
また、この作品で初めてTakasitarさんのシタール生演奏とコラボしてみました。1回目の稽古の段階から、お互いの意思疎通が上手くいき、とても気持ち良く演技が出来ました。感心したのは、takasitarさんは、上演する度に、毎回メロディやリズムを変えてくるのです。お客様の生理や感覚に応じて、演奏の質を変えていったんですね。僕も「今回は、どう来るの?」という感じで、楽しませてもらいました。今後も、Takasitarさんの生演奏に乗って上演する作品は、続けていきたいと思っています。
おかげさまで、この作品は大変評判が良く、お客様にも楽しんでいただけたようです。"ブログ"がモチーフなので、「ご年輩のお客様には難しいかな?」なんて心配していましたが、全くの杞憂でした。60代のお客様から、お帰りの際「バーチャルな劇構造になっていて、とても面白かったわ」とお褒めのお言葉を頂戴したぐらいですから!
また、演劇や映像を作っているクリエーターの方々から、「この作品を、是非、自分でやってみたい」と言われました。嬉しいお言葉です。
自分を役者として客観的に評価すると、ホラーに向いているように思います。声質、見た目ともに怖いキャラクターですし、僕自身も緊張感のある演技の方が集中しやすいように思います。ホラー演劇をやっている劇団も少ないので、今後、レパートリーの柱の一つにしていきたいと思っています。
(この作品は、第3回公演「わしらはみんなぷにぷにじゃけん」でも上演しました)
「わが星」
この作品も「ひまわり」同様、お客様のアンケートのご意見がきっかけになって誕生しました。そのものズバリ「ワールダーの"わが町"のような作品を作って欲しい」という声でした。
その声に従って、僕は無謀にも、ソーントン・ワイルダー作"わが町"をモチーフにした作品を作ることにしました。"わが町"といえば、世界演劇史に燦然と輝く名作中の名作です。僕がどう足掻いても太刀打ち出来るレベルではありません。
そこで、"わが町"と同じテーマを、"わが町"の中に出てくるセリフや単語を散りばめて再構築する手段を考えました。何度も何度も繰り返し"わが町"を読み、気になるセリフや単語を抜き出してはパズルのように並べ替え、徐々に完成していったのが"わが星"です。
"わが町"には、ストーリーらしいストーリーはありません。強烈なキャラクターも登場しません。ごく普通の人のごく普通の日常が描かれているだけとも言える作品です。"わが町"を勉強している間に、僕はワイルダーから物凄く影響を受けたと思います。
"わが星"は、完全に主演の古田秀幸君を想定して書いた作品です。古田君が普通に演じてくれれば十分という脚本に仕上げたつもりです。ですから、稽古の際には、余計な事をしないように注意することがほとんどでした。「ブログの天使」同様、気を溜めて静かに演じてもらえばそれで良かったのです。
この作品も、Takasitarさんのシタール生演奏に乗せて上演しました。
原作の力をお借りしたお陰でしょうか、沢山のお客様が目に涙を浮かべていらっしゃいました。
自分で、最も気に入っている作品です。
「アンコール~なまはげ様」
「夜の部~お楽しみ抽選会」
2008年6月29日 14:42 | カテゴリ:公演案内