ぷにぷにパイレーツ

公演案内

第5回公演「親子で楽しむ動物のものがたり」

品川区立図書館 春の図書館フェア(朗読会)

「親子で楽しむ動物のものがたり~シタールにのせて~」
 
●日時:2009年3月21日(土)午後2時~3時
●会場:荏原文化センター レクリエーションホール
     品川区中延1-9-15【東急池上線 荏原中延駅 徒歩5分】
●内容:朗読「注文の多い料理店」「がちょうのたんじょうび」他、シタール演奏
●定員:135名
●出演:朗読:黒澤 明子  石崎 一気
     シタール演奏:タカシタール

 

劇団ぷにぷにパイレーツ第5回公演「親子で楽しむ動物のものがたり」の様子を、ご来場頂けなかった皆さんにご紹介しましょう。

 

朗読1.jpg 

僕は、午前10時に会場の荏原文化センターに入りました。

品川図書館の皆さんが椅子などを並べて会場作りをされている中、まずは照明や音響のチェックを行いました。

レクリエーション・ホールなので、劇場のような立派な設備があるわけではありません。

しかし、会場を管理されている方々の献身的な協力を頂いたお陰で、それなりに高級感のある舞台が出来上がりました。

10時半に黒澤さんが、11時にタカシタールさんが会場入りされました。

お昼までの時間、タカシタールさんは僕と一緒に「注文の多い料理店」の最終リハを行いました。

これまでに2日稽古日を取っただけあって、息もバッチリ合って、問題は全くありませんでした。

 

外に昼食を食べに行って、1時頃文化センターに帰ってくると、すでに開場を待つお客様がロビーにいらっしゃいました。

開場時間の1時30分には、行列が出来ていたほどです。

用意した135の座席はすぐにいっぱいになり、場内は期待に溢れた熱気に包まれていました。

聞いていた通り、幼稚園児や0歳児など小さなお子さんが沢山いて、どうなるかはやってみないと分からないといった感じでした。

 

定刻通り、2時に開演しました。

最初に、品川図書館館長のご挨拶。

続いて、黒澤明子さんの朗読です。

新美南吉作の「きのまつり」「きょねんのき」「ひよりげた」を、続けて読まれました。

いずれも"木"にまつわるお話で、しっとりした味わいがあり、とても優しい気持ちになる物語です。

やはり南吉は良いですね。

黒澤さんは、「さすが女優!」といった感じで、見事に正統派の朗読をされていました。

比較的静かな朗読にもかかわらず、小さなお子さん達も熱心に聞いているようでした。

 

朗読3.jpg 続いて、黒澤さんに紹介された僕が舞台に登場し、南吉の「がちょうのたんじょうび」を読みました。

これは、いたちのおならがテーマになっている、実にユーモラスなお話です。

前半は固かった子ども達も、おならの件になるとゲラゲラ笑い出し、雰囲気が一気になごんでいきました。

僕の"いたち"のせりふ回しを聞いて笑っているお母さん達も大勢いらっしゃったようです。

 

そして、いよいよタカシタールさんが登場。

5分程度、シタールのソロ演奏を披露して頂きました。

シタール目当てで来場された方もいらっしゃったようで、皆さん集中して聞いているようでした。

実際、素晴らしい演奏でしたよ。

割合静かな演奏なんですが、底に情念が溢れている、深い深い演奏でした。

 

最後は、宮沢賢治作「注文の多い料理店」の朗読です。

タカシタールさんのシタール演奏に乗せて、僕が本を読みます。

普通の朗読と違って、かなり動きを取り入れました。

細かいパントマイムを行うシーンが中心ですが、劇場内を走り回るようなシーンも作ってみました。

相当、禍々しい、おどろおどろしい朗読だったと思います。

セリフ回しも声の質を様々に使い分け、緩急を相当付けました。

原文が少し単調なので、とにかく単調な朗読にならないように、色々工夫して臨んだのです。

その工夫もあってか、冒頭からお客さんの集中力がぐっと高まりました。

小さなお子さんも、付き添いのご両親も、食い入るように僕の動きに見入っている感じが伝わって来ました。

最前列にいた1歳児ぐらいの女の子さえも、何かに取り付かれたかのように、僕をじっと見つめていました。

お話が進むにつれて、皆さんがどんどんその世界に引き込まれていくのが、はっきり分かりました。

僕が少し間を取ると、お客さんが一斉にため息をつくぐらい、場内が一体化していました。

とにかく、お客さんの醸し出す「次はどうなるの、このあとどうなるの」という雰囲気が僕を後押しし、ぐいぐいストーリーを進めていくしかなかったのです。

全部で25分の朗読ですが、普段の3分の1ぐらいの時間にしか感じられませんでした。

お客さんに、改めて宮沢賢治の魅力を教わったような気がしました。

朗読4.jpg 

終演後のお客さんの雰囲気を見ても、アンケートを読んでも、大変好評だったようです。

僕の朗読を"飛び出す絵本"と評する方もいらっしゃいました。

「"注文の多い料理店"を図書館で借りようよ」と言っているお子さんもいたようです。

僕自身、朗読で、ここまで会場が盛り上がるとは、全く予想していませんでした。

結局、朗読をする場合、作品をきちんと読み込み、演出を丁寧に施すことが重要だということを再認識しました。

 

今回、こんな素晴らしい機会を与えて下さった品川区立品川図書館の皆さん、そして黒澤さんに大変感謝しています。

また、見事な演奏を聞かせてくれたタカシタールさんにも大きな拍手を送りたいと思います。

ありがとうございました。

今後もチャンスがあれば、また朗読に挑戦してみたいと思っています。