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「三文オペラ」

 

昨夜、レパートリーシアターKAZEに、東京演劇集団風の公演「三文オペラ」を見にいきました。

「三文オペラ」は、僕の最も好きな劇作家の一人、ベルトルト・ブレヒトの代表作です。

 

上演開始が19:00で、終演が22:30!

なんと、3時間30分にも及ぶ、超大作です。

しかし、それが僕には一瞬に感じられました。

実に面白いのです。

これまで何度もいろんな劇団の「三文オペラ」の舞台を見てきました。

その中で最も素晴らしい上演だったと思います。

 

「三文オペラ」は商業演劇でも良く上演される、人気演目です。

しかし、エンターテインメント性を高めようとすると、毒気が抜かれてしまいがちです。

意図的に抜かなくても、ブレヒト特有の”悪意”みたいなものが薄れてしまうことが多いように思います。

そうすると、結果的に、なんとも訳の分からない、しまりのない作品に仕上がってしまうのです。

「三文オペラ」は、ストーリーを楽しむ劇ではありません。

ご存知の通り、一般的なドラマツルギーからすれば無茶苦茶な結末になっています。

なぜそうしたか‥?

それは、ブレヒトの意図が、ストーリーとは全く違う所にあるからです。

ブレヒトには明確なメッセージがあったのです。

そのメッセージを正確に観客に届けてこそ、この作品を最大限に活かせるのだと思います。

風の公演では、ブレヒトの皮肉、諧謔が実に面白く分かりやすく前面に打ち出されていました。

「三文オペラ」の最大の魅力が、強調された公演だったように感じました。

 

また、ブレヒトの作品には、沢山歌が出てきます。

これまで見てきた「三文オペラ」は、ほとんど歌詞が聞き取れないものばかりでした。

クラシックの歌唱法で歌われたり、豪華な伴奏に埋もれたりすると、歌の文句が全然分からないものです。

それでは、ブレヒトの良さは絶対に伝わりません。

昨日の風の公演では、歌詞が本当に良く分かりました。

役者さんの歌ですから、すごく言葉を大事にされていたんですね。

ブレヒトが言いたい事の多くは、歌詞の中にあります。

それが、改めて良く分かりました。

 

そして、今回の上演で最も特徴的だったのが、動きです。

以前、演出を担当されたミラン・スラデクさんについてご紹介させて頂きました。

ミランさんは、動きの専門家です。

ですから、役者さんの動きが本当に生き生きしているんですよね。

まず、見た目に楽しく美しい。

そして、登場人物のキャラクターや性格、感情などが的確に表現されています。

それにともなって、セリフまでもがキラキラ輝いて聞こえました。

ミランさんのおっしゃっていた通り、「はじめに動きありき」なのです。

頭でっかちの芝居は、観客に極端な集中力の持続を要求するものなので、どうしても眠くなってしまいます。

動き主導の芝居は、観客の生理自体を制御します。

まさに劇場全体が躍動するような感覚に陥ります。

これぞ、舞台芸術の極みです

日本の演劇界に最も必要とされていることを、風の皆さんは自ら体現されていたように感じました。

それも、役者の皆さんのポテンシャルが、元々非常に高いから出来ることだと思いますが‥。

 

正直言って、「三文オペラ」がこんなに面白い作品とはこれまで全く気が付きませんでした。

昨日の上演を見て、僕の意識は大きく変わりましたね。

是非、皆さんもご覧下さい‥、と、言いたいところですが、すでにチケットは完売のようです。

再演の際は、お見逃しなく!

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