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演劇は自分を解き放つ?

「演劇は自分を解放する」という話を良く聞きます。

昨日聞いた、高名な演劇人のインタビューでも、そんなニュアンスの言葉が入っていました。

普段抑圧されている自分、隠された自分を演劇で解き放つのだそうです。

そして本来の自分を取り戻すんですって!

また、自分でない他者を演じることで、ストレスを発散したり、自己啓発になったりもするのだそうです。

ということは、例えば殺人鬼の役をやることで、自分の眠れる凶暴性を覚醒させるのでしょうか?

あるいは、人を殺した気になって、溜飲を下げるのでしょうか?

演劇って、役者の精神治療を目的としたものなんでしょうか?

実際、欧米では、心に問題がある人に役を演じさせることで様々な効果を挙げるワークショップが盛んなのだそうです。

しかし、それはお客さんに見せるものではありませんよね。

演劇を正当化するために、精神治療的な余計な論理を持ち込むのは、かえってイメージダウンに繫がるような気がします。

演劇の目的はただ一つ!

お客様に喜びをもたらすことです。

その喜びとは、笑い、涙、恐怖、怒り、その他様々な感情をもたらすことです。

そして、劇場を出るときに、何か暖かいものを持ち帰って頂くことです。

役者の自己なんて、どうだっていいんです。

お客様に、分かりやすく、かつ美しく、役を伝えていくことが重要です。

「人を殺したい」という感情を解き放つのではなく、その殺意に共感させたり、殺人鬼の存在で観客に恐怖を覚えさせる工夫を考えるべきなのです。

感情を持つのは、役者ではなく、観客の特権なのです。

お客様に、「あっ、今この役者は普段抑制している本来の自分を解放している!これでしばらくは精神的に安定した生活をおくれるだろう」なんて思われたら、どうしましょう!

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