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昨日、文学座アトリエ公演「犀」を見に行ってきました。

ベケットとともに、現代フランス不条理演劇の旗手とされるウージェーヌ・イヨネスコの代表作です。

この作品は、1960年10月、文学座アトリエの会にて日本初演されました。

それからほぼ半世紀の時を経て、中村まり子さんの新訳を得て、松本祐子の新演出で、初演と同じアトリエの空間での再演となります。 翻訳の中村まり子さんは、イヨネスコの前で『禿の女歌手』を演じ、イヨネスコ本人に褒められた経験を持ち、 自ら主宰する演劇企画パニックシアターでは女優はもとより、演出、劇作も手がける多彩な方です。 演出の松本祐子は、劇団内外での活躍の幅をますます拡げている今最も期待される演出家の一人だそうです。

「犀」の粗筋をご紹介しましょう。

どこかの地方の小さい町の広場。夏の空が青く、陽射しの強い日曜の昼近く。 カフェのテラスにいたベランジェやジャンやデイジーたちは、町を駆け抜けてゆく1頭の犀を見た。犀は駆けもどり、 一匹の猫を踏み殺した。飼い主の主婦は悲しみに暮れる。 その場に居合わせた人々は、彼女を慰めるが、やがて話題はその犀が一角だったのか二角だったのかに移り、果てしない議論となる。 さて翌日、ベランジェは勤めに出た。事務所では、昨日犀を見たという女秘書デイジーの話をめぐり議論が沸騰していた。 その日、ブゥフ氏が欠勤していた。何度目かの欠勤のため怒る部長。その時、顔色を失ったブゥフ夫人が事務所に駆け込んで来た。 犀に追いかけられたという。悲しげに吼える犀。ブゥフ夫人が恐怖の叫び声を上げる。「主人です! あれは主人です!」。 ブゥフ氏は犀になったのだ。そして町のあちらこちらで人々は犀になりはじめた。 ベランジェの親友、ジャンもベランジェの目の前で肌が緑色に変色し犀になってゆく。 町には犀の姿があふれた。人間はみるみる少数派になってゆく。 ベランジェは恋人デイジーに「僕等二人で人生を再生するんだ」と、自らをアダムとイブに擬してデイジーを誘うが、 「正しいのは彼らよ」とデイジーはベランジェの元を去る。 一人残されたベランジェ。彼は叫ぶ、「僕は世界と闘う! 僕は最後の人間だ、そして最後まで人間でいる! 決して降伏しないぞ!」・・・

 

アトリエ、つまりは稽古場での公演です。

約150人ほどお客さんが詰めかけ、客席は超満員でした。

お客さんは、ほとんどが60~70代の知的な感じの方がほとんどでした。

さすがは、文学座です(”文学”というぐらいですからね)。

名門劇団だけあって、役者さんは皆さん演技がお上手ですね。

難解な内容の劇を、非常に分かりやすく演じていらっしゃいました。

不条理劇なのに随所に笑いも起こり、皆さん楽しんでいらっしゃるようでした。

 

イヨネスコは、僕が学生時代からずっと憧れ続けている劇作家です。

イヨネスコのプロフィールもご紹介しましょう。

ルーマニア人の父とフランス人の母の間に、 1909年11月26日、 ルーマニアのスラチナで生まれたウージェーヌ・イヨネスコは今年生誕100年を迎えます。 1950年、処女戯曲『禿の女歌手』、51年『授業』、52年『椅子』と、秀作を次々と発表。 発表当初は、その〈不条理性〉がなかなか受け入れられませんでしたが、50年代後半からは脚光を浴び、まさに不条理演劇の代表作家と目されるようになりました。 イヨネスコは政治への関心も高く、共産主義体制、左派知識人を厳しく批判し続けました。 1970年、アカデミー・フランセーズ会員に選出され、1994年3月28日、死去。パリ、モンパルナスの墓地に埋葬されました。

 

僕は大学の時、演劇科だったのですが、卒論の担当がベケットの翻訳で有名な安堂信也先生でした。 

当然の如く僕はその影響を受けて、不条理劇の大ファンになりました。

特に、イヨネスコが大好きで、当時、全集まで購入したぐらいです(度重なる引越しで、どこかにいってしまいましたが‥)。

ですから、僕の作品には、どこかしら不条理劇の影響を感じるものがあるはずです。

「究極のロハス・スタイル」「執行人」「ぷにぷに俳優養成所」などは、かなり不条理劇的な要素を盛り込んでみたつもりです。

そもそも、劇団ぷにぷにパイレーツは、不条理劇を上演したいと思って設立したぐらいなのですから。

今、不条理劇はすっかり下火になってしまい、滅多に上演されません。

既存の劇団に期待していても不条理劇はなかなか見られないし、ましてや自分が参加することなんてありえません。

それなら、自分が好きなジャンルの作品を上演出来る劇団を作ってしまえ‥、なんて気持ちで設立したのがきっかけです。

実際には、一般のお客様に喜んでもらえるような脚本ばかり書いていて、本格的な不条理劇はまだ作っていません。

演劇に馴染みのない方にいきなり不条理劇をお見せするのは、やはりハードルが高いからです。

しかし、もう少し公演を重ねていき、適当な時期が来たら、「ぷにぷに不条理祭り」を開催してみたいと思っています。

不条理劇を、シルバー世代のインテリ層だけに独占させておくわけにはいきませんから。

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