メリーさんの羊
下北沢・小劇場楽園で、”メリーさんの羊を上演する会”による「メリーさんの羊」の上演を見てきました。
「メリーさんの羊」は、1984年、渋谷の公園通りにあった小劇場ジャンジャンで初演された作品です。
老人を演じた中村伸郎さんが、「ジャンジャンという小さな空間に合った、少人数の、そして『リア王』の王と道化をモチーフに、書いて欲しい」と、別役実先生に直接依頼されて出来上がったのが「メリーさんの羊」す。
しかし、初演の稽古中、中村さんは演出の岸田良二さんに「これのどこが『リア王』なんだろう?」と笑っていたそうです。
ほんの少しボケの始まっている老人の脳裏に浮かび上がってくる人生の秘密を、老人を王に、道化を模型機関車に見立てた、まさに別役先生流の『リア王』のスタイルで、明らかにしていきます。
開演時間を迎えると、『楽園』と云う小さな劇空間が暗闇につつまれます。テーブルの上の模型機関車が汽笛を響かせ走り出した時、観客達もその汽車に乗る旅が始まります。 人間が年老いた時、もしかしたら誰もが経験するかもしれない時間。今までの後悔や誰にも言えなかった秘密をふと現れた男2と共にたどる遠いあの日‥。
上演時間は、僅か1時間5分です。
まさに凝縮された濃密な時間でした。
優れた作品だと、これでもう十分という感じがします。
本当に素晴らしい脚本だと思いました。
ストーリーもギャグも本当に面白いのですが、それ以上にセリフ運びの見事さに唸ってしまいます。
僕は、別役先生に一歩でも近付きたくて、いつも真似をして書いているつもりなんですが、全く足下にも及びません。
脚本を読むより、上演を見ると、よりその凄さが分かります。
見事な伏線の張り方、観客の心を自由に操る劇のスピード・コントロール、セリフの音、そのリフレイン‥、もう挙げていけばキリがありません。
とても人間業とは思えないほど素晴らしいです。
こんな凄い作品が既に存在するのに、僕が駄作を書く必要なんかないんじゃないかと思ってしまいます。
是非、皆さんも、別役作品の上演をご覧になって下さい。
幸いにも、今年は別役作品の上演が数多く見られそうです。
別役先生の脚本なら、どんな劇団でも構いません。
「別役作品を見ずして、一体どんな演劇を見るんだ」と言いたくなる程です。
僕も、もっともっと別役作品を勉強して、レベルアップしていきたいと思っています。
2009年5月11日 08:36 | コメント(0) | トラックバック(0) | カテゴリ:演劇
トラックバック(0)
トラックバックURL: http://www.punipuni.org/mt/mt-tb.cgi/63
コメントする