「夢で会えたら」作品解説
「夢で会えたら」
”ぷにぷに号泣祭り”のオープニングとして、「夢で会えたら」という作品を上演しました。
ストーリーは次のようなものです。
”今日は、一人息子の誕生日。
父は、愛息のために贈り物を購入する。
しかし、父には、その贈り物を渡せない事情があった。
かつて犯した犯罪のため、息子に会うことが出来なくなっていたのである。
渡せないことを知りながらも、贈り物を買わずにはいられない父。
やがて彼は、悲しみの中、酔いつぶれていく。
この父には、決して救いは訪れない。
しかし、夢の中だけは違う!
夢の中なら、息子に会い、贈り物を渡し、幸せを感じることが出来る。
だから、この男の眠りを覚まさないで欲しい‥”
僕は、オー・ヘンリーの「賢者の贈り物」という作品が大好きです。
これに匹敵するとは言いませんが、同じような趣向の話を書きたいと常々思っていました。
ですから、「夢で会えたら」には、「賢者の贈り物」の中の単語や文章が、随所に散りばめられているんですよ。
ストーリーは全然違いますけど、その精神は同じであると感じ取って下さったお客様も何人かいらっしゃいました。
「号泣するというより、その喪失感に茫然とした」というご意見も、多数寄せられました。
また、女性を中心に、「父の息子を思う孤高の姿がカッコよかった」というお褒めの言葉も沢山頂戴しました。
一方、かなり文学的で、劇構造も複雑で凝っているので、分かりにくいと感じた方もいらっしゃったようです。
見る方の感性によって反応が分かれる作品だったようです。
役柄的には、刑務所帰りの酔っ払いですから、僕はやりやすく感じました。
最初はただガラが悪く怖いだけのオヤジが、息子のことを思ううちに徐々に弱弱しく悲しい存在になっていくという演技は、やり甲斐を感じましたね。
上手く出来たかどうかは自分では分かりません。
ただ、舞台写真を見る限り、僕に魂が乗り移って、悲しみが全身から放たれているように思いました(写真がお上手なだけかもしれませんが)。
作品中にドラマチックに心理が動いていく作品って良いですね。
今後も挑戦していきたいと思っています。
失敗もあるんです。
衣装として着用したベストは、作業着の専門店で1500円で購入しました。
本当に工事をする人が着るものなので、事故に合わないように暗いところで蛍光色に光る素材だったんですね。
ですから、暗転中に舞台に出て行くと、ベストが光って凄く目立ったんだそうです。
「これじゃあ、暗転の意味がないですね」って、手伝ってくれたスタッフに突っ込まれてしまいました。
「ぷにぷに号泣祭り」で上演した3本の作品の中で、僕は「夢で会えたら」が一番好きです。
最も改稿を重ね、長さも原稿用紙45枚程度の中篇になってしまいました。
上演時間も、約30分でした。
「号泣祭り」というタイトルの公演でしたけど、本当のテーマは「優しさ」です。
その「優しさ」について、今回、一番深く掘り下げられた作品だと思っています。
このテーマについては、今後も折を見て、また挑戦していきたいですね。
2009年6月23日 08:32 | コメント(0) | トラックバック(0) | カテゴリ:演劇
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