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「日記」作品解説

 

「ぷにぷに号泣祭り」で上演した「日記」という作品について解説します。

 

☆「日記」

ご覧になっても、なかなかお気付きにならない思いますが、非常に実験的な作品です。

ストーリーは、あってないようなものです。

”結婚して僅か3年で亡くなった妻の日記が、偶然見つかった。その日記に書かれていた内容とは?妻が残していった思いとは?”

妻の日記を、夫が淡々と読み上げるだけのお芝居です。

 

この作品のコンセプトは、とにかく静かで、地味な作品を作ってみたいというものでした。

動きも、感情の起伏も最小限に抑え、可能な限り、一般的な演劇的表現から遠ざけたものにしてみたかったのです。

声の質は微妙に変化させますが、その大きさは一切変えません。

手の振りも、日記を読む動き以外は、極力使いません。

足も、ラストシーンで一歩前に出るだけで、それ以外は固定したままです。

これ以上はないというぐらい、ストイックな演出だと思います。

前衛のちょっと手前ぐらいの、かなり過激な手法です。

”外連(けれん)”を極限まで排除した演出が、どこまで一般のお客様に通用するかという冒険を行ってみたのです。

 

しかし、その過激な演出にお気付きになる方は、全くと言って良いほど、いらっしゃいませんでした。

あまりにも地味な作品なので、「ほとんどのお客さんが寝てしまうかな」なんて覚悟していましたが、そんなこともなく、皆さん凄く集中してご覧頂いていたようです。

お客様の凄い圧力が、舞台上の僕に押し寄せてきたのがはっきり分かったぐらいです。

演者が集中して丁寧に演じれば、難解な演出でも十分通用するということなんでしょうね。

 

演出は実験的でしたが、内容は実にオーソドックスなものです。

冒頭で、妻が死ぬことを明かし、あとはその死に向ってゆっくりと進んでいくというものです。

「号泣祭り」ですから多少は泣かせようというセリフも入れ込んでおきましたが、それも最小限に抑えてあります。

なるべく普遍性を高めて、僕の発したいメッセージを純化させたかったのです。

 

脚本に関しては、賛否両論、綺麗に分かれましたね。

「涙が止まらなかった」という方もいらっしゃれば、「意外なことが何も起こらないので、つまらない」と不満を覚えた方もいらっしゃいました。

でも、僕はそれで良い、いや、それが良いと思っています。

「作品は、見る人を映す鏡たれ」というのが、僕の信条です。

感動や主張を押し付けるのではなく、見る人なりに何かを掴み取って頂ければ十分です。

「日記」を上演したことで、今後、心にさざ波を起こすような作風を自分の特長にしていきたいと思いました。

勿論、賑やかで分かりやすいコントを止めるつもりはありません。

でも、その合間に、ストイックで静かで繊細な作品も混ぜていくつもりです。

そういった意味で、「日記」は、ぷにぷにパイレーツの新たなスタート地点と呼べるかもしれません。

 

動きは少ない作品ですが、演じるのは体力的にとても大変なんですよ。

下っ腹にぐっと力を入れ、足を踏ん張らなくてはいけません。

(その分、上半身の力は抜ききる必要があります)

作品の後半は、足の裏が痛くて仕方ありません。

夜の部の最後の方は、踵が痛くて悲鳴を上げそうでした。

ロウミンさんの「落書きダイスキ!」の最中、ずっと足の裏を揉んでほぐしていたんですよ。

能の世界でも、”クセ”という動かないで感情表現する所が一番大変ということですが、まさにそんな感じでした。

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