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「日記」in広島 作品解説

 

*「日記」

 

「ぷにぷに号泣祭り」で上演した「日記」を、広島で再演しました。

3年間一緒に暮らした、今は亡き妻の日記を偶然見つけ、新たな人生を踏み出していこうとする夫の心の動きを綴った作品です。

動きは極端に減らしています。

下半身は1回しか動かさず、上半身も日記を読む所作を時々するだけに留めています。

お客様に分からないように体は精一杯使っているのですが、どちらかと言えば、内面の動きを見て頂く作品です。

 

基本的に、東京公演と同じ脚本、同じ演出で上演しました。

ちょっとだけ声のトーンに丸みを付けてみただけです。

それなのに、お客様の反応は、東京公演の際とは全然違っていましたね。

ほとんどのお客様が涙を流され、嗚咽を洩らすほど号泣されている方も何人かいらっしゃいました。

序盤の、二人が幸せに包まれているシーンでさえ、あちこちでハンカチが動き回っているのが舞台からはっきり見えました。

日記の最後のページを読んだ時の感覚は、僕が初めて体験したものです。

物凄く深く、お客様の中に何かが染み入っているのが良く分かりました。

単に悲しいとか可愛そうとかいうレベルではなく、より大きな感動を感じ取っていらっしゃったようなのです。

そのお客様の波動を受取った僕は、ラストのセリフが切なくて堪らず、ついつい声が震えてしまったほどです。

広島のお客様が、上演中に作品を育てて下さったのです。

 

終演後、色々な方にお話を伺ったところ、「日記」は評判が良かったですね。

皆さん、自分の中に、「日記」の世界をお作りになり、そのイマジネーションにどっぷりと浸かられたようなんです。

そして、自分の身に引き寄せて、”こうちゃん”と”けいこ”の心理を実体験されていたみたいなんですね。

ですから、多くのお客様が、ポイントとなるシーンやセリフを良く覚えていて下さったんですよ。

感想を述べているうちに、思い出して涙をこぼす方も少なくありませんでした。

劇中、”けいこ”は死んでしまいましたけど、お客様の心の中で永遠の生命を得たのです。

演劇人として、こんなに素敵なことはありません。

 

広島のお客様は本当にレベルが高いですね。

何人かは、「日記」の中で僕がリフレインや対位法を多用していることに気付き、その作劇について質問を受けたりしました。

東京ではなかったことです。

東京のお客様はストーリーを重視される傾向があると感じました。

広島のお客様は、作劇術や演出、演技に重点を置いて、演劇として楽しんでいらっしゃる印象を持ちました。

どちらが良いという話ではありません。

同じ作品でも、ご覧になるお客様によって、全く変わっていくということです。

 

「日記」のようなシリアスな作品は、お客様を選ぶ部分があります。

しかし、「日記」や「夢で会えたら」のようなピュアな作品は、僕の特性を大いに生かしたもので、他の劇団では滅多に見られないと思っています。

若い方の中にはピンと来ない人もいたようですが、世の中、若者向けの演劇ばかりです。

「ぷにぷに!泣いてつかあさい」を通して、本当の大人が心から感動できる深い作品を、今後も作り続けていきたいと思いました。

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