「おまえの乳房のうえで調教したエスカルゴ」
昨日、レパートリーシアターKAZEに、「年老いたクラウン~おまえの乳房のうえで調教したエスカルゴ Le Vieux Clown présente : Comment j'ai dressé un escargot sur tes seins」という作品を見に行きました。
これは、『年老いたクラウン』の続編で、世界初演となります。
1996年に上演され、アヴィニョン演劇祭で大賞を受賞した『年老いた道化師たちのための仕事』。
そこから発展し、オリビエ・コントのために書き下ろされたのが『年老いたクラウン』です。
1998年に初演され、ヨーロッパ各地でロングランを成功させているオリビエ・コントのライフワークとも言うべきモノドラマです。
2005年・2007年の〈ビエンナーレKAZE国際演劇祭〉で上演し、日本の観客の絶賛を博しました。
あのクラウン=ニコロが、さらなる膨らみをもって、新たな精神世界を展開します。
非常に前衛的な一人芝居ということになりますが、本当に素晴らしかったです。
休憩なしの1時間40分の公演ですが、一瞬たりとも退屈することはありません。
公演終了時には、感動で打ち震えていました。
世界には、物凄い俳優さんがいらっしゃるんですね。
この公演を見て、感じたことがあります。
俳優にとって最も大切なのは、”自由になること”なのです。
はっきり言って、「年老いたクラウン」は意味が全く分かりません。
ストーリーは特になく、難解な詩が展開されます。
でも、それが感動的なのです。
演劇においては、内容が理解出来るかどうかなんて些末なことなんですね。
圧倒的な肉体表現、音声表現を浴び続ける凄味と言ったら良いのでしょうか。
かつて見たこともない”演技”でした。
コントさんの芝居を見たら、これまでの一般的に考えられている”演技”という概念が吹っ飛んでしまいます。
俳優には、まだまだ未知の可能性が秘められていたんですね。
この作品の良さを、文章で表現することは不可能です。
それは、理解するものではなく、感じるものだからです。
海に沈む夕陽の美しさに理由はなく、ただ”美しい”と感じるだけですよね。
それと同じことが言えると思います。
俳優は、脚本を性格に分かりやすく描写する仕事と思われがちですが、そうではないのです。
俳優が舞台にいる、そのことが既に素晴らしいと感じさせる‥。
これが俳優の新たなる境地なのだと思いました。
僕がいくら頑張って書いても、その良さを伝えることは出来ません。
是非とも、その目で確認してみて下さい。
きっと、俳優の概念が覆されてしまうと思います。
貴重な機会をお見逃しなく!
『年老いたクラウン お前の乳房のうえで調教したエスカルゴ』
Le Vieux Clown présente : Comment j'ai dressé un escargot sur tes seins
8月5日[水]~10日[月] 開演:平日7時/土日2時
作:マテイ・ヴィスニユック Matéi Visniec
訳:大木宏斗
演出・出演:オリビエ・コント Olivier Comte
照明:フランソワ・シャファン François Chaffin
Thanks:ジョン・マーク・エルアン Jean-Marc Herouin
エレヌ・ニコランスコット Helene Nicod-Lanscotte
2009年8月 9日 08:26 | コメント(0) | トラックバック(0) | カテゴリ:演劇
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