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「疾走」作品解説

 

●「疾走」

落語家、立川らく太君の主演作品です。

 

「ぷにぷに冬のパン祭り」は、出演者の希望に沿った作品を上演して貰うことにしていました。

そこで、らく太君にリクエストを聞くと、「野球選手、それも代打の切り札の役をやらせて下さい」との返事が返ってきました。

最初は、草野球チームのダメダメな代打のおじさんを主人公に、コントを書こうと思っていました。

しかし、らく太君が、「どうせならカッコいい作品をお願いします」と強く要望したのです。

そこで、プロットを練り直し、シリアスでストイックな「疾走」という作品を書き上げました。

 

結果が欲しいあまり、本来の自分を見失っていた、引退間際のベテラン打者。

過去を振り返るうちに、男のプライドを取り戻し、再び疾走を始める‥。

こんな物語です。

 

内省的なセリフと、外に向って言うセリフが入りまじります。

また、野球場全体を、自分の肉体だけで表現していかなくてはなりません。

劇の進行に合わせて、主人公の変化をしっかり見せていく必要もあります。

しかも、見た目がカッコよくないと、台無しになってしまいます。

役者にとって、とても難しい作品です。

でも、その分、やりがいは十分あるものだと思っています。

 

さすがに、らく太君は苦労していました。

どうしても、落語のように、軽いタッチになりがちです。

特に、動きについては、四苦八苦しているようでした。

でも、相当真剣に取り組んでくれたのでしょう。

本番には、彼なりに、何とか纏め上げてくれました。

 

僕は、この脚本をとても気に入っています。

主人公が、自分の分身のように思えます。

決して、僕は、1997安打を放っている大打者ではありません。

でも、「疾走しなくては、俺じゃない」という僕の気持ちは、作品そのままなんです。

動きも多いし、ラストの見せ場も十分なので、いつか自分でも上演してみたいと思っています。

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