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A.チェーホフのエピゴーネン

 

昨日、また新作の脚本を1本書きました。

原稿用紙40枚程度の作品です。

上演時間にすると、25分程度です。

タイトルは、「穴」にするつもりです。

 

内容は、どす黒いコントです。

非常に笑いにくい、苦い笑劇になっていると思います。

最近、僕は、「喜劇は笑いが起きるようでは甘い!」と考えるようになりました。

公演を見て家に帰ってから、あるいは、何ヶ月か経って作品を思い出した時に「フッ」っと頬が弛むようなコントを目指しています。

まさに、そんな作品に仕上がったのではないでしょうか。

 

書き終えて読み直してみると、意外な発見がありました。

自分で言うのもおこがましいのですが、かなり強くチェーホフの影響が出ています。

書いている時には、そんなことを全く意識していないのです。

しかし、出来上がったもの見ると、「構造的には、ほとんどチェーホフの模倣に近い」と思うほど良く似ています。

勿論、ストーリーは全然違います。

でも、主人公を描く目線がそっくりなんですね。

 

チェーホフの戯曲は、一般的に「人間喜劇」と呼ばれています。

ストーリー自体はどう見ても悲劇なのですが、チェーホフ自身は頑なに「喜劇だ!」と強調していたようです。

僕も若い頃は、「チェーホフの、どこが喜劇なんだろう?」と、いつも首を捻っていました。

しかし、最近は洞察力が向上したのか、「こんな可笑しい喜劇はない」と思うようになりました。

そう感じるようになって以来、退屈な印象だったチェーホフ作品が、とても魅力的になりました。

どこかでチェーホフが上演されていると聞くと、必ず、足を運ぶようにしています。

無意識のうちに、僕はチェーホフの影響を受けていたんですね。

 

思い起こせば、「第1回ぷにぷに祭り」で上演した「バック・ステップ」という作品も、「人間喜劇」的な性格を持った作品です。

これが、僕本来のスタイルなのかもしれません。

「バック・ステップ」もそうでしたが、「穴」も、見る人によっては非常に不愉快に感じる可能性があります。

あまりにも、毒々しく、生々しいからです。

でも、その真意を理解して、感動して下さる方が、きっといらっしゃる筈です。

その少数の、僕と感覚が共有出来る方だけの為の作品が存在してもいいではありませんか。

 

「ニュース寿司」や「史上最強の日本代表」のように誰もが楽しめる作品も、作り続けていかなくてはいけないと思っています。

それと同時に、僕自身が納得出来る、自分らしい作品の追求も忘れてはならないと考えています。

目先の評判ばかり気にするのではなく、自分のポテンシャルを上げるための創作活動に比重を移していくつもりです。

(お客さんの数が減ってしまう恐れはありますが‥)

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