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「かもめ」

 

チェーホフの代表作「かもめ」の新訳が、岩波文庫から出版されました。

早速購入し、昨日、読んでみました。

素晴らしい!

実に素晴らしい!

あまりの素晴らしさに、一気に読了してしまいました。

読み終わるとすぐに、もう一度、第四幕を読み直したぐらいです。

 

「かもめ」を読むのは、これで何十回目になるか分かりません。

すくなくとも、年に1回は読むようにしています。

読むたびに、その良さが、どんどん増していきます。

僕にとって、まさにバイブルとも呼べるものです。

 

僕は、チェーホフに、一歩でも近づきたいと思っています。

僕の作品の多くは、チェーホフ作品をイメージしたものです。

ストーリーもそうですけど、特に、構成や文体を真似していきたいと思っています。

 

チェーホフの劇は、彼の生前から、「単調」「退屈」「奇妙」と評されることが多いようです。

芝居の中で、とりたてて目立った事件や出来事が起きないからです。

事件があったとしても、それらは舞台裏で起きるもので、舞台上では何も起こらないのです。

演劇は、本来行動の上に成り立つものですが、チェホーフ作品には、表面上の動きがないのです。

「かもめ」におけるトレープレフの自殺も、ニーナの出産や赤ん坊の死も、すべて事後報告されるだけで、それが事実なのかどうかもはっきりしません。

 

チェーホフの盟友で、演出家のスタニスラフスキーは、こう語っています。

「その素晴らしさは、それがセリフでは伝えられずに、その影に、あるいは間のうちに、あるいは俳優の眼差しのうちに、彼らの内的な感情の放出のうちに隠されていることにある」(『芸術におけるわが生涯』より)

まさに、僕が目指す演劇スタイルそのものです。

こんなに素晴らしいモデルがある訳ですから、僕は、積極的に影響を受けたいと思っています。

 

チェーホフ作品は、主人公不在の世界観で描かれています。

その辺も真似したいのですが、僕にはまだまだ到達できない境地です。

今後も定期的にチェーホフ作品を勉強して、作品作りに生かしていきたいと思っています。

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