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クライスラー


オーストリア出身の世界的ヴァイオリニスト、フリッツ・クライスラー(1875年~1962年)のお話です。

クライスラーが音楽家としてブレイクした大きなきっかけがあります。
演奏旅行中、訪問先の図書館や修道院の資料室で、ヴィヴァルディをはじめとする大作曲家の貴重な未発表を発掘したというのです。
クライスラーは、発見した楽譜を使い、各地で演奏を始めました。
当時の評論家たちはこれを聴いて、「作曲は素晴らしいが、フリッツの演奏は未熟だ」と批判したそうです。
しかし、観客は、クライスラーの演奏に魅了され、人気を博していきました。

それから30年以上経った、クライスラーが60歳の時のことです。
彼が見つけた大作曲家の楽譜が、全部、偽物であることが発覚してしまいました。
実は、クライスラー自身が作曲したモノを、過去の偉大な作曲家の名義にして発表していたんですね。
偉そうにクライスラーを批判していた批評家の耳は、節穴に過ぎなかったということです。

では、なぜ、クライスラーは、そんな嘘をついたのでしょうか?
それは、こんなことでもしないと、自分の音楽に耳を傾けて貰えないからです。
「無名のクライスラーの作曲」というより、「ベートーベンの知られざる曲」と言った方が、関心を持って貰えるからなんですね。

そうか!
やっぱり、そうか!
僕も、この作戦を使わなくては!
さすがに嘘をつくわけにはいきませんが、知名度の高い過去の偉人の威光を借りない手はありません!
実際、芥川龍之介や夏目漱石の作品を朗読する公演は、毎回、超満員になりますからね。
今後の活動の参考とさせて頂きます。

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