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時間の種

 

昨日、久し振りに、本屋さんに行きました。

そしていつものように、創元推理文庫のコーナーを物色しました。

すると、どうでしょう!

欲しい本が、やけに沢山あるんです。

しかも、これまで見たことのないタイトルが、ズラリと、平積みされています。

どうやら、一度に沢山、僕好みの本が出版されたようなんです。

そんな本は、数か月に1点出れば良い方なのに、一気に10冊近くもリリースされるなんて信じられません。

何で、そんな嬉しい事が起こったのでしょう?

 

そのうちの一冊を手に取り、帯に書いてある文字を読んで、僕は納得しました。

それは、入手困難だった名作を集めた「復刊フェア2011」の本だったのです。

品切れ中の文庫作品を対象に、ツイッターで実施したアンケートの結果を参照し、選ばれた銘柄を復刻したそうなんです。

ですから、粒ぞろいの作品群となっていたんですね。

早速、僕は、ジョン・ウィンダム作「時間の種」と、ウィリアム・アイリッシュの「ニューヨーク・ブルース」を購入!

そして、今度は何を買おうか、考えている所です(多分、フレドリック・ブラウンの「73光年の妖怪」になるでしょう)。

 

推理小説や、サスペンス、怪奇、SF好きの皆さん!

是非、創元推理文庫の復刊フェアをお見逃しなく。

急がないと、すぐまた、入手できなくなってしまいますよ!

詳しくは、こちらをご覧下さい。

http://www.tsogen.co.jp/np/archive/fukkan/2011092601

岸田國士戯曲選集Ⅰ

 

ハヤカワ演劇文庫から、日本現代演劇の父とされる劇作家、岸田國士の戯曲選集の第1巻が発売されました。

今では、"岸田國士演劇賞"で名前を聞く程度で、実際に、その作品が上演されることは滅多にありません。

岸田今日子さんのお父さんと言えば、なんとなくイメージが出来るでしょうか?

久保田万太郎らと"文学座"を創設した人でもあります。

まさに、今の演劇界に多大な影響を与えた人なんです。

ただ、最近は、その脚本を読むこと自体が難しくなっていたんですよね。

1989年には、『岸田國士全集』が岩波書店から発売されましたが、なにせ全28巻の超大作です。

誰もが気軽に手にすることは出来ません。

そういった意味で、今回の文庫化は、快挙と呼べるかもしれません。

演劇に携わる者なら、一度は必ず、目を通しておきたい劇作家ですからね。

 

僕も、今回、久し振りに岸田國士の作品を読み直しましたが、とても新鮮な印象を受けました。

1920年代に書かれた作品ですから、風俗や生活習慣等はさすがに古臭いのですが、作風や筆致が非常にモダンなのです。

ある種、前衛的な空気すら感じてしまう程です。

ご本人も認めていらっしゃいますが、別役実先生が多大な影響を受けていらっしゃるのが良く分かります。

とにかく、文体や会話の転がし方がそっくりなんです。

また、暗いテーマでも、どこかしら陽気な雰囲気が漂っているのも魅力ですね。

(僕は、どんなにナンセンスなコントを書いても、絶対に陰気なムードに包まれてしまいます。これは、どっちが良いとかいう問題ではありません。その人が、本来持っている資質ですから、どうしようもないのです)

それに、短編や中編ばかりというのも、僕が気に入っている要素の一つです。

様々な面で、大変参考になる戯曲集でした。

 

今の演劇界が置き去りにしてきたある種の演劇の良さが、岸田國士の戯曲選集には詰まっています。

この辺で、今一度、岸田國士に立ち返って、演劇について考えてみるのも良いことだと思います。

演劇人の皆さん、是非、この機会にお読みになってみて下さい。

定価は、1200円(+税)です。

時の商人

 

フランス戯曲大賞を受賞した戯曲『時の商人』を読んでみました。

1963年生まれの劇作家・演出家、ジョエル・ポムラが2006年に発表したモノです。

『時の商人』は寓話劇で、同時に二つの形式で観客に語られていきます。

一つは語り手の言葉。

もう一つは、一連の無声の場面で、様々な登場人物が、様々な場所で行う行為が混在しています。

つまり、この作品のエクリチュールは、二つの次元が合わさって構成されているのです。

 

「私にとって戯曲というのは、舞台の残りかすのようなものなんです」

「テクストを書くという作業と演出という作業とを緊密に結び合わせることなしには、演劇の作者にはなれない。この二つの段階を異なる性質のものと捉えるのは、誤りだと思う」

ポムラは、「戯曲は、舞台の一要素を抜き出したものに過ぎない」と思っています。

ですから、ポムラは、まず劇場に舞台装置と照明を組み、そこに俳優が入って、初めてセリフを書き始めるそうです(なんと贅沢な!)。

俳優には断片的なメモのみを渡し、俳優たちと一緒に場面を作り上げていく手法を採っているんですって!

こうすることで、ポムラは、脚本に書きすぎないようにしています。

「劇作家は、自分の意図や意見を過剰に明瞭にしたり、書き方を単純化したりする」と警告もしています。

今の時代、演出家の意識を持たない劇作家に、リアリティは求められないのかもしれません。

 

『時の商人』は、一見、前衛的な脚本に見えます。

でも、上演をイメージすれば、とてもスタイリッシュでカッコいい作品だということが分かります。

テーマ性もはっきり前面に打ち出してあり、決して難解ではありません。

ただ、「演出こそ命」という作品ですから、誰が演出するかで、その評価は一変してしまいます。

色々な演出家で、見比べてみたいと思いました。

 

日本では、ここまで芸術性の高い戯曲を上演することは滅多にありません。

改めて、フランス演劇の懐の深さを痛感させられました。

世界最先端の演劇を味わってみたい方は、是非、『時の商人』を読んでみて下さい。

れんが書房新社から出版されていて、比較的容易に入手できると思います(定価1000円+税)。

大典礼

 

アラバール戯曲集第4巻「大典礼」を購入しました。

今から26年前に発行された本が、1冊だけ、新宿・紀伊国屋に残っていました。

勿論、今は絶版になっています。

ラッキー!

 

アラバールは、ベケットやイヨネスコと同時代の、スペインの前衛劇作家です。

「戦場のピクニック」や「建築家とアッシリアの皇帝」といった作品で、有名ですね。

非常に難解な作風ではありますが、どことなく滑稽な空気が漂っています。

随所にギャグやジョークが織り交ぜられているのが、他の不条理作家との違いかもしれません。

(実際に上演すると、そのギャグは、大概、すべりますけど…)

スペイン内乱戦争時代に活躍した作家なので、反戦をテーマにした作品も多いのですが、どことなくふざけているように感じるんですよね。

その辺りが、僕の感性にぴったりくるんです。

(ぷにぷにの戯曲にも、シリアスなテーマをふざけたタッチで描くモノが多いでしょ?)

「大典礼」を読み込んで、自分の劇作の参考にさせて頂きたいと思っています。

 

残念なことに、アラバールの作品は、現在、ほとんど上演されなくなってしまいました。

でも、1980年頃までは、パルコ劇場のような大きな劇場にも掛けられていた、人気レパートリーだったんですよ。

僕も、幾つかの劇団の上演を見たことがあります。

そのほとんどが、難解さを前面に押し出し、滑稽さを感じさせない演出でした。

当時、観劇しながら、「勿体ないなあ…」と思っていたのを思い出します。

なぜ、現在、アラバール作品が上演されなくなってしまったのでしょうね?

迷走する社会には、ピッタリの作品だと思うのですが…。

アラバール自身は、「60年代の異常な激動が沈静すると、演劇界も火が消えたように沈滞してしまった」と言っています。

アラバールのエネルギーと諧謔に満ちた作品は、勢いを失った今の日本には、眩し過ぎるのかもしれませんね。

奇妙なホラー映画論

 

ホラー映画を論じた面白い本を読みました。

「ジョジョの奇妙な冒険」で知られる、漫画家の荒木飛呂彦さんが書いた「奇妙なホラー映画論」(集英社新書)です。

 

荒木さんはホラー映画が大好きだそうで、1970年代以降のモダンホラー映画を、独自の論で、愛いっぱいに解説しています。

なかでも、ゾンビ映画への思いが強いようで、ページ数を大きく割いて、巻頭で論じています。

「ゾンビの本質とは、全員が平等で、群れて、しかも自由であることで、そのことによってゾンビ映画は”癒される”ホラー映画になりうるのです」なんて、面白い見かただと思いませんか?

項目立ても興味深く、”ゾンビ映画”のほか、”田舎に行ったら襲われた系ホラー”、”ビザール殺人鬼映画”、”スティーブン・キング・オブ・ホラー”、”SFホラー映画”、”アニマルホラー”、”構築系ホラー”、”不条理ホラー”、”悪魔・怨霊ホラー”、”ホラー・オン・ボーダー”という形で、ホラー映画を分類しているんです。

荒木さんお薦めの映画が、その理由とともに沢山列挙してあり、幾つかの作品はもう一度見直してみたくなりました。

(ほとんどのホラー作品を見ていた事実に、自分でもビックリ!)

ホラー映画が好きな方は勿論、嫌いな方にこそご一読頂きたい本だと思います。

今年の夏は、ホラー映画の公開は少ないようです。

この本で解説してある過去の名作ホラーに触れて、是非、この夏を涼しく過ごして下さいね。

小松左京先生逝く...

 

日本を代表するSF作家の小松左京先生が、肺炎のため、26日に大阪府箕面市内の病院で死去していたことが分かりました。

80歳でした。

小松先生は、京都大学でイタリア文学を専攻後、1962年に「SFマガジン」へ作品を投稿し、作家デビューしました。

1964年には、廃虚で鉄を食う一族の生きざまを描いた「日本アパッチ族」で一躍人気作家となり、同年、細菌兵器をテーマとした「復活の日」を発表し、人気を不動のものとしました。

1973年には、大作「日本沈没」を発表し、400万部を超える大ベストセラーとなりました。

1985年にも、「首都消失」がベストセラーとなり、再びSFブームを巻き起こしました。

好奇心と行動力を兼ね備えた方で、1984年には、自作「さよならジュピター」で映画製作にも乗り出したほか、短編や時代物など、ジャンルを問わず独自の世界を作りだしました(映画では、多額の赤字も創出したそうですが…)。

1970年の大阪万博ではプロデューサーを務めるなど、多くの国際的な企画に関わっています。

 

まさに、”巨星墜つ”!

本当に大きなショックです。

僕は、小学校6年の時、角川文庫の「継ぐのは誰か?」を読んで以来、小松先生の作品に夢中になりました。

何かに取りつかれたように、小松先生の作品を図書館で借りて読み漁り、当時文庫化されていた作品はすべて読破してしまいました。

 

小松先生の魅力は、何と言っても、そのエネルギーです。

読む者の体力を奪ってしまうほど、文章にパワーが満ち溢れています。

体調が悪い時に読むと、吹き飛ばされそうな勢いがあります。

物凄い圧力なのです。

描く世界も、近未来を予言するようなものばかりで、あまりのリアルさに、何度も恐怖を覚えました。

小松先生の悲観的な未来感から、僕は、相当影響を受けていると思います。

また、小松先生は、綿密な調査をしてから執筆される方だったようで、小説中のデータの量にも圧倒されます。

実は、科学的データの描写が長すぎて、疲れてしまったことも少なくありません。

「継ぐのは誰か」なんて、ストーリーは前半で終わってしまい、後半はその科学的検証だけを書き綴っているんです。

だから、長編の大作が多いのかもしれませんね。

 

ただ、時代とともに生きた作家だったためか、今現在は、その代表作すら、ほとんど出版されていません。

「地には平和を」「果てしなき流れの果に」「エスパイ」といった名作が簡単に手に入らないなんて、実に残念なことです。

また、大量に残されている短編も、ほとんどが眠ったままの状態です。

出版各社には、是非とも、復刊をお願いしたいと思います。

 

SFが一部のマニア向けのジャンルになってしまった今だからこそ、皆さんには、小松作品をお読み頂きたい!

現在活躍中のSF作家は、すべて、小松先生の子孫のようなものなのですから…。

広島学

 

商品の詳細

面白い本を見つけました。

新潮文庫から今月刊行された「広島学」です。

なぜ、広島人は独りよがりなのか?

なぜ、楽観的で、未来志向なのか?

なぜ、暴れん坊揃いなのか?

なぜ、起業家や発明家が多いのか?

などなど、広島県人特有の気質が、歴史的背景を踏まえて、論理的に説明してあります。

あの“ラテン系”のノリには、ちゃんとした理由があったんですね。

僕も、典型的な広島人ですが、思い当るところが沢山ありました。

また、僕の出身高校のことなども、事細かに書いてあります。

広島県出身者は勿論、広島県人の独特のノリに弱っている人にも、是非読んで頂きたいと思います。

税別で、552円とお手軽なのも、魅力です。

ちなみに、著者の岩中祥史さんは、「博多学」「札幌学」「出身県でわかる人の性格」という本も、お出しになっていますよ。

「ゴドーを待ちながら」を待ちながら

 

不条理演劇の最大にして最高傑作と言えば、サミュエル・ベケットの「ゴドーを待ちながら」以外、考えられません。

皆さんも、タイトルぐらいはお聞きになったことがあるかも知れませんね。

でも、実際に上演を目にしたり、脚本を読んだことのある人は少ないのではないでしょうか?

確かに、決して面白可笑しいモノではありませんし、むしろ難解な部類に入る作品です。

でも、僕にとっては、演劇の教科書のような作品で、その影響は測り知れません。

なにせ、大学の卒論の主査だった教授が、「ゴドーを待ちながら」の翻訳で知られる安堂信也先生だったぐらいですから…。

皆さんにも、一度脚本を読んで頂きたいとは思っていたのですが、白水社から発行されている単行本は2520円もしてしまいます。

なかなか気軽に買える値段ではありませんね。

 

それがそれが、比較的廉価で購入する機会が訪れました!

早川書房から出ている演劇雑誌「悲劇喜劇」5月号に、「ゴドーを待ちながら」の全文が掲載されているのです。

価格は1300円也!

しかも、翻訳は、岩切正一郎さんによる新訳です。

こんな機会を待っていた方も、大勢いらっしゃることでしょう。

不条理演劇に触れ合ってみたいという方は、このチャンスをお見逃しなく!

アウルクリーク橋の出来事

 

アンブローズ・ビアスの短編集『アウルクリーク橋の出来事/豹の眼』が、光文社古典新約文庫から発売されました。

皮肉に満ちた『悪魔の辞典』で知られるビアスですが、実は短編小説の名手でもあるんです。

芥川龍之介が、「短編小説を組み立てさせれば、彼ほど鋭い技巧家は少ない」と評したほどです。

芥川の代表作『藪の中』は、ビアスの『月明かりの道』の影響を強く受けています(ほとんど、そっくりですよ)。

岡本綺堂も、「ポーの二代目ともいふべきビヤース」と記しているように、欧米では、エドガー・アラン・ポーと並び評されるほどの作家です。

 

ビアス(1842‐1914?)は、アメリカのジャーナリスト、作家です。

オハイオ州の貧農の末っ子に生まれ、16歳から新聞植字工など、職を転々としました。

南北戦争(1861~65年)で北軍に志願し、激戦を経験。

除隊後、サンフランシスコの新聞・雑誌に投稿しはじめ、すぐに時評欄を任されました。

政治家・大実業家などに筆で挑み、その鋭さで「ビター・ビアス(辛辣なピアス)」と呼ばれるようになったそうです。

1880年代末には、妻との別居、長男の決闘による死と家庭の不幸が続きますが、創作面では「アウルクリーク橋の出来事」など代表的短篇を生み出しました。

 

僕は、中学生の頃、岩波文庫から出版されていた『ビアス短編集』を購入し、何度も繰り返し読んでは感銘を受けていた思い出があります。

しかし、それ以降、ビアスの作品集は、日本の書店から長らく姿を消していました。

ですから、ビアスの短編の素晴らしさをご存じの日本人は、ほとんどいないのではないでしょうか?

それだけに、皆さんには、是非、今回の新訳をお読み頂きたいですね。

 

ビアスの作品は、ほとんどが、”死”をテーマにしています。

ある男が、橋の上で絞首刑になろうとしていた。足元の板が外され、川に落ちた彼が、敵の銃弾を逃れてたどり着いたのは…。

森に住む女が、恋人からの求婚を頑なに拒んだ理由とは…。

ねっ、面白そうでしょ?

文体が古くて読みにくいかもしれませんが、頑張って読むと、素晴らしいラストが待っています。

ぷにぷにパイレーツのルーツとも呼べる作家です。

ご一読を!

モルジアナ

 

本当なら、今日は朗読会の本番の日でした。

返す返すも、「アリババと40人のどろぼう」をお聞かせ出来なくて、残念です。

 

ところで、皆さんは、「アリババと40人のどろぼう」のお話をご存知ですか?

アリババが「開け、ごま!」というシーンは有名ですけど、その後どうなるか、分かります?

このお話は、知名度の割には、意外に結末を知られていないようなんですよね。

 

実は、「アリババと40人のどろぼう」は、「開け、ごま!」以降のシーンの方が長いし、面白いんですよ。

特に、女奴隷・モルジアナが登場してから、急に話が盛り上がっていきます。

全編通して読むと、主人公はモルジアナに思える程の大活躍をするのです。

むしろ、話の後半を中心に味わって頂きたいぐらいです。

童話好き、読書好きの皆様!

是非、一度、「アリババと40人のどろぼう」をお読みになることをお薦めします。

「シアター!」

 

商品の詳細

演劇に興味のある皆さんにお薦めしたい本があります。

ベストセラーを連発されている人気作家・有川浩さんの小説「シアター!」です。

「シアター!」の粗筋は、こんな感じです。

 

小劇団「シアターフラッグ」は、300万円の負債を抱え、解散の危機が迫っていた。

主宰の春川巧は、兄の司に泣き付く。

司は、巧にお金を貸す代わりに、「2年間で、劇団の収益から、この300万を返せ。出来ない場合は、劇団を潰せ!」という厳しい条件を出した…。

 

とても読みやすい文章だし、ストーリーも面白いので、シンプルに読み物としてお薦め出来る小説です。

それに加えて、小劇団の実状を、現実に即して過不足なく描き切っています。

特に、劇団運営上の経済的側面は、かなり正確な数字が提示されていると思います。

有川先生は、「シアター!」を執筆するに当たり、”Theatre劇団子”に密着取材されたそうです。

 

「シアター!」を読んで頂ければ、劇団を続けていくのがいかに大変かが、ご理解頂けると思います。

ただ公演を実現するだけでも死ぬ思いなのに、面白い舞台を作るなんて奇跡に近いことなのだということが、きっと、お分かり頂けることでしょう。

経済の状況が悪化し続ける今の日本では、小劇団の存続は、まさに風前の灯…。

時代に合った、新しい劇団の在り方を模索していかなくてはならないのではないでしょうか?

 

「シアター!」は、メディアワークス文庫から、610円(+消費税)で発売されています。

ぜひ、ご一読を!

モーリス・ルヴェル

 

皆さんは、モーリス・ルヴェルという作家をご存知ですか?

僕は、これまで、全く知りませんでした。

このほど、ルヴェルの作品集を、たまたま手にしました。

読んでみたら、これは素晴らしい!

まず、シンプルにストーリーが面白いです。

また、文章の組み立て方が実に見事です。

そして何より、ラストの余韻の作り方は、圧倒的なものが感じられます。

是非とも、作風を真似したい作家ですね。

なぜ、日本で知名度が低いのか、不思議なぐらいです。

 

ルヴェルは、「フランスのエドガー・アラン・ポー」と呼ばれているそうです。

確かに、表面的には、ポーのような不気味な面も感じ取れます。

しかし、その奥には、モーパッサンやO.ヘンリーの作品に見られるようなヒューマニズムが、しっかりと感じられます。

探偵小説の脈で語られることが多いようですが、純文学として評価した方が相応しいように思います。

孤独、寂寥、人生の虚無等を、原稿用紙20枚程度の短い文章の中に、描き切っています。

僕も、かくありたい!

 

皆さんにも、ルヴェルの作品を、是非、お薦めします。

ただ、20世紀初頭の田中早苗さんの翻訳しか手に入らないので、少し読みにくいのが難点ですが…。

暑い夏を涼しくする、グロテスクなコントも沢山ありますよ!

フランツ・カフカ

 

商品の詳細

「カフカの作品を思い出しました!」

「カフカの“変身”を読み直してみたくなりました!」

”ぷにぷに印象派祭り”のアンケートに、こんなことが書いてありました。

複数の方がそうおっしゃるのですから、きっと、そんな雰囲気があったに違いありません。

しかし、僕がカフカの作品を読んだのは、もう30年近く前のことです。

今更、急に、その影響が出てくるとも思えません。

そこで、昨日、カフカの「変身」を買ってきました。

本当に久々に読み直している所です。

30年振りとはいえ、結構覚えているものですね。

かなり細かい部分まで、詳細に記憶していました。

(勿論、大半は忘れていますが…)

なんだか懐かしいような気分で、ワクワクしながら読み進めています。

 

それにしても、”ぷにぷに印象派祭り”のどこが、”カフカ風”なのでしょうか?

作者の僕には、全然分からないのですが…。

ハロルド・ピンター

 

ハロルド・ピンター全集

昨日、ハロルド・ピンター全集を購入しました。

全3巻で、9450円です。

「部屋」「料理昇降機」「管理人」「誰もいない国」など、初期から中期にかけての代表的戯曲に加え、短篇とエッセイが採録されています。

ピンターは、日常の不条理を乾いた笑いを交えた斬新な言葉で描き、現代人の混乱と空虚を突いたイギリス現代演劇の鬼才と呼ばれています。

斬新なことば、独特の間と沈黙、乾いた笑い…。

「ピンタレスク」とよばれる独特の手法で、引き裂かれた現代人の不安な魂を、恐怖とユーモアのうちに描き出します。

説明的なセリフを嫌い、敢えて観客には(しばしば登場人物にとっても)状況が理解しづらい劇を作っています。

しっかりした目的に向かって話が進むのではなく、「キャラクターが一人歩きする」のです。

2005年にノーベル賞を受賞しましたが、医者にブラジル先住民の風土病である重度の皮膚疾患に感染していると診断され、授賞式に出席できなかったというエピソードが残っています(ピンターは、ブラジルに一度も行ったことはありません)。

反戦思想の持ち主で、NATOによるユーゴスラビア空爆や、アメリカ合衆国によるアフガニスタン空爆に抗議し、ブッシュ政権のイラク侵攻をナチス・ドイツのアドルフ・ヒトラーに例えたこともあります。

まさに、社会派不条理劇の大家です。

 

この度、「ハロルド・ピンター全集」を購入したのは、「ぷにぷに印象派祭り」がきっかけです。

英米演劇を専門とされている、元・大学教授の方が、「ぷにぷに印象派祭り」をご覧下さいました。

僕が最も尊敬し、憧憬の念を抱いている劇作家、アーサー・ミラーの翻訳などもなさっている方です。

その先生が、僕の作品を見て、「石崎さんって、才能のある方ですね。ハロルド・ピンターやエドワード・オールビーの不条理劇に良く似ています」との感想を洩されたんだそうです。

プロの演劇の研究家の方にお褒め頂いて、こんな嬉しいことはありません。

それも、僕が目標としている2人の偉大な劇作家に譬えて頂けるなんて、光栄至極です。

ピンターやオールビーに一歩でも近付けるように、益々、努力していきたいと思っています。

 

その第一歩として、ピンターやオールビーの作品を、研究することにしました。

今、ピンターの代表作を手に入れるには、全集を買うしかないんですよね。

結構高額でしたが、中途半端な本をパラパラ読むぐらいなら、徹底的にピンターに浸った方が勉強になると思いました。

これから、じっくりと、ピンターの作品から学んでいくつもりです。

ヴァレンタイン・チョコ

 

一昨日のワークショップで使うテキストとして、ごく短い脚本を書きました。

「ヴァレンタイン・チョコ」というタイトルで、高校生の男女が登場する淡い恋の物語です。

あくまで演技の練習用に作ったものですが、実際に若い男女に演じて貰うと実に良かったですね。

色々演技指導を施していくうちにどんどん雰囲気が出てきました。

最後には、作者の僕ですら、女性のラストのセリフで胸がキュンとなる程でした。

やっぱり、演技って大切ですね。

ちょっとした体の使い方で、作品の印象がまったく変わってしまいます。

そのコツを少しでもお伝え出来たのなら、嬉しいです。

 

「ヴァレンタイン・チョコ」は、思いの外、魅力的なものだったので、いつか舞台にも掛けてみたいと思っています。

SF

 

作劇の参考になればと、アマゾンで沢山本を買ってしまいました。

オンライン書店って、いけませんね。

芋蔓式に、どんどん欲しい本が出てきてしまいます。

 

今回は、約20年前に発行されたSFの全集を、まとめ買いしてしまいました。

もうお小遣いがありません!

今月は、演劇鑑賞の数を減らさなくてはいけません。

じっくりSFの勉強をさせて頂きます。

実は、近い将来、「ぷにぷにSF祭り」を開催するつもりです。

すでに4~5本、SFの脚本を書き終えているのです。

舞台ならではのSFのあり方を探るべく、研究していきたいと思っています。

「スポンサーから一言」

 

昨日、書店に行ったら、嬉しい悲鳴を上げそうになりました。

子供の頃愛読した本や、読みたかったのに買うタイミングを逸して入手できなかった本が、ずらりと書棚に並んでいたのです。

これは、東京創元社が、品切れ中の文庫作品を対象として毎年開催している“復刊フェア”によるものです。

今年の復刊フェアは、東京創元社の「文庫創刊50周年」を記念し、読者からリクエストを募って銘柄を決定したんだそうです。

ミステリーやSFファンの方が、そのラインナップをご覧になると、僕と同様、卒倒されると思いますよ。

エラリー・クイーン編『犯罪文学傑作選』●新カバー

シャーロット・アームストロング『あなたならどうしますか?』●新カバー

フリーマン・W・クロフツ『ギルフォードの犯罪』●新カバー

ロジャー・スカーレット『エンジェル家の殺人』

ジャック・フットレル『思考機械の事件簿I』

ロバート・ブロック『アーカム計画』

フレドリック・ブラウン『スポンサーから一言』

ロバート・A・ハインライン『ダブル・スター』●新カバー

ジェームス・G・バラード『永遠へのパスポート』

フィリップ・K・ディック『死の迷路』

どうです、どうです!

凄いでしょう!

凄さが分からないという方は、このサイトで確認してみて下さい。

http://www.tsogen.co.jp/np/archive/fair/2009082701

 

僕は、早速、「あなたならどうしますか?」「スポンサーから一言」「永遠へのパスポート」の3冊を購入しました。

中でも、「スポンサーから一言」は、僕が小学校5年生の時に、生まれて初めて買った文庫本です。

僕の劇作に多大なる影響を与えていることは、間違いありません。

ショートショート集ですけど、いまだにほとんどの作品の内容を記憶しているぐらいですから。

その本を紛失して以来、ずっと探してきましたが、品切れ状態が長く続き入手することが出来なかったのです。

嬉しいったら、ありゃしない!

今、1話1話、じっくりと味わいながら読んでいるところです。

 

今回復刊された本は、全て買う予定です。

文庫本なのに、1冊1000円を超えるものもあり、少々高いのですが、外れなしのこのラインナップなら買うしかありません!

お小遣い、大ピンチ!

ストーリー・セラー

「図書館戦争」などのヒット作で知られる有川浩(ありかわ・ひろ)さんの中篇小説「ストーリー・セラー」を拝読しました。

さすがは人気作家です。

とても読みやすく、面白い小説でした。

 

しかし、結末の部分を読んでビックリしました。

僕が、「ぷにぷに号泣祭り」で上演する「日記」という作品のラストに、よく似ているのです。

ストーリーそのものが違うので、皆さんには、その酷似ぶりが分かりにくいかもしれません。

粗筋は似ても似つかないものですから。

ただ、「読者(演劇の場合は観客)を、こういう形で泣かせたい」という手法が、実にそっくりなのです。

構造が似ているということなんですが、ご理解頂けないですよね。

野球で言えば、インコースに速球を投げておいてから、アウトコースにゆるい変化球を投げてバッターを打ち取るといった、組み立ての部分が似ていると感じたのです。

要するに、泣かせる話にも、投手の配球にも、一定のパターンがあるということでしょう。

皆さんも、「日記」をご覧になった後に、機会があったら「ストーリー・セラー」をお読みになってみて下さい。

きっと、何か感じて頂けると思います。

 

「日記」という作品は、僕としては、ひたすら泣ける作品として作ったつもりです。

稽古していても、時々自分で、ジーンとしてしまいます。

でも、ただむやみに悲しい話ではありません。

見終わった後、人に優しくしたくなるようなイメージで書きました。

むしろ温かいお話だと思います。

演出の特長として、動きが小さいことが挙げられます。

なにせ、足を動かすのは、たった1回ですから…。

小劇場演劇としては、異例の演出だと思います。

どんなものになるのか、是非、劇場でご確認下さい!

花模様が怖い

 昨日、僕のお気に入りの大型書店に、本のまとめ買いに行きました。

僕は、お酒も飲まないし、ギャンブルも一切やりません。

ほとんど道楽らしいことはしないんですけど、本と芝居にだけはお金を惜しみません。

昨日も、僕の会計の際に後ろに行列が出来るぐらい、沢山買ってしまいました。

本は、見つけた時に買っておかないと、後で探すのは至難の業です。

気になるものは無理しても買うようにしています。

 

昨日の最大の収穫をご紹介しましょう。

ハヤカワ文庫の棚を見ていたら、平積みになっている中に「花模様が怖い」という本を発見しました。

それには「片岡義男コレクションⅠ -謎と銃弾の短編ー」という副題が付いています。

そうです!

僕がずっと探していた、片岡義男さんのハードボイルド作品の短編が再編集されて、文庫本として発行されたのです!

これは実に嬉しい驚きです。

片岡さんの恋愛小説は、今でも比較的入手は簡単です。

しかし、超暴力的で過激なハードボイルド&ヴァイオレンス作品は、近年いくら探しても見つけることが出来ませんでした。

 

僕が中学生の頃、片岡さんの短編集は角川文庫で沢山読むことが出来ました。

勿論僕は、それらを取り付かれたように読みまくり、確か全巻制覇した記憶があります。

そのスタイリッシュでクールな文体に憧れ、普段文章を書くときも、片岡さんの小説を真似したものでした。

今の僕の脚本の文体も、多分に片岡さんの文章の影響が見られると思います。

というより、積極的に影響を受けようと思って頑張っているところです。

 

そんな矢先に「花模様が怖い」を見つけられたのは、ラッキーでしたね。

昨夜、あっという間に300ページ以上読んでしまいました。

本当に素晴らしい短編集です。

池上冬樹さんが選んだ作品集ということで、池上さんの個性も十分反映されていて、かなりユニークなチョイスになっていると思います。

ストーリーの好き嫌いがはっきり出る作品群です。

でも、文章を味わうだけでも価値があると思います。

興味のある方は、この機会に是非お読み下さい。

 

「片岡義男コレクションⅠ」と銘打たれているということは、ⅡやⅢも続々発行されるのでしょうか?

今からすごく楽しみです。