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白いkindle


結局、新しいkindleを買ってしまいました。
今回は、道路のアスファルトの上に落としてもすぐに発見できるように、色を白にしました。
5年前に買ったものより、かなり小さく感じます。
しかし、実際には、上下の長さが僅か1㎝ほど短くなっているだけでした。
画面の大きさは、以前とまったく変わっていません。
人の感覚って、面白いものですね。
ただ、重さは雲泥の差で、相当軽くなっています。
紙の本より遥かに持ちやすくて、良いですね。

 

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一番安いのを買ったので、内臓ライトはありません。
でも、暗い所で読むことはないので、これで十分だと思います。
操作性も上がっていて、従来品より、いろいろ便利になっていました。
新しいkindleで、これからまた、たくさんの本を読むことになるでしょう。
二度と車にひかれたりしないよう、kindleを大事に扱いたいと思っています。

 

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倒れたまま


将来に向かって歩くことは、ぼくにはできません。
将来に向かってつまずくこと、これはできます。
いちばんうまくできるのは、倒れたままでいることです。

上記はカフカの言葉です。
きのうご紹介した「絶望名人カフカの人生論」という本に掲載されています。
(奇しくも、きのうはカフカの誕生日でした)

上の言葉は、好きな女性へのラブレターの一節なんだそうです。
カフカは、その女性と2度婚約し、2度婚約破棄したらしいんですね。
結婚の申し込みも、破棄も、もちろんカフカから!
実に困った人です。

カフカは、こんな言葉も残しています。

ぼくは彼女なしでは生きることができない。
しかしぼくは、彼女と共に生きることもできない。

絶望名人カフカの人生論

 

 

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面白い本を読みました。
「絶望名人カフカの人生論」というタイトルです。
20世紀を代表する文豪、カフカの言葉を集めたものです。
カフカの日記やノート、手紙には、自虐や愚痴が満載で、そんな彼のネガティブな言葉だけを掲載しています。
あまりに悲惨な言葉が揃っているので、逆に、笑ってしまったり、勇気付けられたりするような気がします。
誰よりも落ち込み、誰よりも弱音を吐いていて、とても文学史上の巨人とは思えません。
発想のすべてがネガティブで、陰鬱なのです。
言っても仕方ないことを、くどくどと書き綴っています。
「なるほど!こんな人格だったから、あんな作品が出来上がったんだな」と、良く分かります。

カフカ・ファンの皆さん!
(ぷにぷにパイレーツを応援して下さっている方なら、きっとカフカが好きなはずです)
是非、ご一読を!
新潮文庫から562円で発売されています。

 

キング


来た、来た、来たー!
ついに、スティーヴン・キングの作品が、Kindleからまとめて発売されました!

キングの作品は、近年、どんどん長尺化しています。
最近の作品はどれも大作で、紙の本にすると持ち運びが不便なほど分厚いものになっています。
移動中や出先で読書することが多い僕としては、なかなか手にすることが出来ませんでした。

それが、電子書籍なら、持ち運びが簡単!
しかも、ちょっとだけ安く買える!
有難いじゃありませんか!

今、僕は悩んでいます。
全5冊の「ザ・スタンド」を読むか?
はたまた、全4冊の「アンダー・ザ・ドーム」にするか?
いずれにせよ、読み始めると、数週間はその作品に没頭することになります。

それにしても、もう少し短く書けないものですかね...。

野球人vol.4


来た、来た、来た!
待望していた本が、届きました。
"流しのブルペンキャッチャー"こと、安倍昌彦さん責任編集の「野球人 vol.4」です!

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今回の「野球人」は、真のプロ野球ファン必携の一冊となっています。
サブタイトルが凄い!
「一軍選手とルーキーは先輩諸誌にまかせた!!
プロ野球それ以外の選手と若手選手名鑑&この春、開花の予感! アマチュア選手網羅名鑑」

要は、すでに一軍でバリバリ活躍している選手や、注目を集めがちなルーキー選手はカット!
プロ入り6年目以上のベテランも割愛!
ほとんど話題にならないような選手だけの詳細な名鑑になっています。

これは、ファンにとっては嬉しいものなんですよ。
一流選手のことは沢山報道されるので、情報が十分届いてきます。
しかし、二軍以下の選手については、今どうなっているのか知る由もありません。
そういったあまり話題にならない選手の現状と課題が、今回の「野球人」にはたっぷり掲載されているのです。
今シーズンの後半戦や来年以降を見据える上で、必読の書と言えるでしょう!

さらに、この春開花の予感というアマチュア選手の名鑑も有難いです。
今年は、大学野球や社会人野球も見に行こうと思っているので、大変役に立ちそうです。
球場に見に行けない方でも、秋のドラフトへの期待が高まること間違いなし!
文章が素晴らしいので、読み物としても十分楽しめます。

例えば、カープの中村恭平投手について、「なにやってんだい、いつまでも!しっかりせんかい!」と書かれています。
「良くぞ言ってくれました」と、胸のすく思いです。

今後の野球観戦のあり方が変わると言っても過言ではない、「野球人vol.4」!
文藝春秋企画出版から、741円+税で発売されています。
絶対に損はありません。
お近くの書店になければ、アマゾンでお取り寄せ下さい!

 

パインズ 美しい地獄

 

 

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奇妙な小説を読みました。
ハヤカワ文庫から出ている、クラウチ・ブレイク作「パインズ 美しい地獄」という作品です。
この小説を原作に、「シックス・センス」のシャマラン監督が、「ヴィレッジ」というタイトルでTVシリーズ化しています。
あらすじをご紹介しましょう!

川沿いの芝生で目覚めた男は所持品の大半を失い、自分の名さえ思い出せない。
しかも全身がやけに痛む。事故にでも遭ったのか...。
やがて病院で記憶を回復し、みずからが捜査官だと思い出した男は、町の保安官や住民に助けを求めた。
だが、この美しい町パインズはどこか狂っていた。
住民は男が町から出ようとするのを執拗に阻み続け、外部との連絡にも必ず邪魔が入る...。

「絶対予測不能の衝撃のラスト」という宣伝文句ですが、確かに、このオチは予測出来っこない!
サスペンスでもなければ、SFでもない!
ジャンル分けも難しい作品です。
読んでいるととても面白いのですが、薄っぺらい感じが拭えません。
衝撃のラストもお見事ではあるのですが、アイディアが先走っていて、厚みがないんですね。
要は、最初から最後まで、妙に違和感のある作品なのです。
このしっくりこない感じは何なんでしょう?
感覚的に、新しいということなんでしょうか?
恐らく、文章の組み立て方が、僕の感性と合わないのでしょうね。

皆さんにとっても、多分、これまで体験したことのないような小説だと思います。
(ストーリー展開には、既視感があると思いますが...)
面白いことは間違いないので、是非、騙されたと思って読んでみて下さい。

「パインズ 美しい地獄」は、ハヤカワ文庫から972円で発売されています。

 

「野球人 vol.2」


今週の木曜日にプロ野球の新人選手を選択する「ドラフト会議」が開かれます。
そのタイミングを捉えて、流しのブルペンキャッチャー・安倍昌彦さんが責任編集の本「野球人 vol.2」が発売されました。
サブタイトルは、「〈吟選〉2014ドラフト候補選手最強名鑑号」となっています。
安倍さんが、球場・グラウンドレベルの視点で有力選手を徹底調査したもので、ことしのドラフトの注目選手の情報が網羅されています。

具体的な内容は、以下のようになっています。
●ドラフト最強名鑑・吟選85選手~前代未聞!おせっかい進路指導付き~
●ドラフト注目選手リスト〈高校・大学・社会人〉
●流しのブルペンキャッチャー
●旬・第2回 室蘭シャークス・瀬川隼郎投手
●野球的ディスカバー・ジャパン
●社会人の名人・達人に訊く Vol. 02 富士重工・阿部次男投手/現コーチ
●野球人のページ〈その2〉文:元東芝・葛城弘樹内野手(ソウル五輪全日本代表)
●流しのひとりドラフト

この時期、沢山のドラフト本が出版されます。
その多くが、ドラフト候補の選手を褒めまくっていて、全員がプロで活躍出来そうに書いてあります。
しかし、「野球人」は違います。
「これが実情だろう」ということが書いてあります。
投手の球速帯も他の本より遅めに書いてありますし、全体的に辛口の評価です。
だからこそ、信頼出来るんですね。

去年の今頃、安倍さんに、ドラフト指名された選手たちの評価を伺ったことがあります。
それが、ことごとく的中しているんですね。
「大瀬良はルーキーイヤーに間違いなく10勝する!その代わり10敗もする」
「田中広輔は、夏ごろレギュラーに定着し、バットでもかなりの成績を残す」
「森友哉は、今年のルーキーのバッターの中で一番!」
全部、当たっていますね。

「野球人 vol.2」は、文藝春秋企画出版から発売されたばかりです。
価格は800円。
ドラフト会議の前に熟読して情報を入手しておいた方が、よりドラフトを楽しめると思いますよ!

野球人


本当に本当に野球が好きな人だけ、お読み下さい。

僕がお仕事で大変お世話になっているスポーツジャーナリストの安倍昌彦さんが責任編集する雑誌が創刊されました。その雑誌のタイトルは「野球人」です。
安倍さんは、ドラフトで上位指名が予想されるアマチュア投手の球を実際に捕手として受けて、その実感を記事にするというユニークな取材をすることで知られています。付いたあだ名が「流しのブルペンキャッチャー」です。その安倍さんの血の出るような努力をまとめた本が、「野球人」なんです。(剛球を受けて、本当に血が出たこともあると思います)
すべての文章に、安倍さんの思いがつまっています。物凄い文章です。圧倒的としか言いようがありません。なんてカッコいいんでしょう!しかも、選手たちへの愛情がたっぷりです。厳しい意見もありますが、それも選手を思えばこそ!僕は、一文一文、いや、一文字一文字を味わいながら、じっくり時間をかけて読みました。何度も繰り返し読んだ記事もあります。こんな読みごたえのある雑誌には、滅多にお目にかかれません。野球好きの方には、是非、読んで頂きたいと思います。

ただし、内容が本当にマニアックです。なんといっても、登場人物のほとんどが、アマチュアの選手です。心から野球を愛する人でないと、ついていけないことでしょう。でも、間もなく始まる都市対抗野球や、夏の甲子園等を楽しみにしている方は、必読です。わずか80ページしかないのに、定価は741円+税!割高に見えるかもしれません。ただ、それだけの価値はありますよ!
以下、「野球人」の主な内容をご紹介します。


●高校生最強名鑑・300文字ストーリー 57●高校野球注目選手リスト 2014●春の九州観戦記●ドラフト1位候補高校生捕手4人 会ってきました 見てきました Part1九州国際大付・清水優心/福岡工大城東・山川晃司●野球的ディスカバー・ジャパン Discover file:01磐田東高・藤森碧尉/鈴木博志/齋藤誠哉●社会人の名人・達人に訊く Vol.01富士重工・阿部次男 投手/現コーチ●流しのブルペンキャッチャー明治大学・投手 山崎福也●野球人のページ文:元東芝・葛城弘樹 内野手(ソウル五輪全日本代表)●追悼×中日ドラゴンズ・渡辺麿史スカウト

 

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ゆだねて束ねる


ついに、日本時間の今朝、W杯ブラジル大会が開幕しました。
全32チームが世界一の頂点を目指す戦いが、約1カ月間に渡って繰り広げられます。
開幕戦をTV観戦しましたが、凄い試合でした。
本当に面白かった!
これじゃあ、当分、眠れない日々が続きそうですね。
なお、日本の初戦、コートジボワール戦は、あさって(15日)午前10時キックオフです。
いよいよ盛り上がってきましたよ。

その日本戦を迎える前に、改めて、ザッケローニ監督について学んでおきませんか?
僕が大変お世話になっているスポーツライターの増島みどりさんが、このほどザッケローニさんについての本を出版されました。
タイトルは「ゆだねて束ねる ザッケローニの仕事」です。

独占インタビューと、4年間に及ぶ徹底取材でザッケローニ監督の素顔と本音が初めて明らかにされます。
非常に取材の難しい人ですので、貴重な情報が沢山掲載されています。
実際、共同記者会見以外で、ザッケローニさんの生声を聞いたことないでしょ?
それが、この本では、たっぷり読めるんですね。

「郷に入りては郷に従う。この素晴らしい国で私が守るべき信念は、たったそれだけだった」
「日本の料理にパルメザンチーズをかける」
「真実はいつも"中間"にある」
「選手に合わせてチームを"編集"する」
「"団結は力なり"イタリアでは良く使う諺だが、日本では不要だ」
こんなユニークなザッケローニさんの言葉が満載です。
ザッケローニさんが、どんな思いで、4年間かけてチームを作り上げてきたかが良く分かります。
この本を読んでから、W杯の日本戦を観戦すると、より一層楽しめると思いますよ。

「ゆだねて束ねる ザッケローニの仕事」は、飛鳥新社から、1204円(税別)で発売されています。

滅私


サッカーW杯の開幕が近付いてきましたね。皆さん、盛り上がっていますか?

僕はスポーツ報道の仕事をしています。

当然、サッカー解説者やサッカージャーナリストと、良くお仕事をご一緒させて頂きます。

そんな方々が、このタイミングで、次々にW杯関連の本を出版されています。

満を持してのリリースといった本も少なくありません。

その中から、今日は、お薦めの一冊をご紹介しましょう。

集英社新書から出されている「メッシと滅私 「個」か「組織」か?」です。

著者は、吉崎エイジーニョさんです。

 

ヨーロッパでプレイする「海外組」が主体となった日本代表は、以前とは違い、技術や戦術では「世界」と遜色ないレベルに達したようにも思える。

しかし、大一番で勝負を分けるのはメンタリティだ。

そのメンタリティを形成する文化的背景とは何なのか?

深刻なカルチャーギャップを体感した選手たちへの取材をもとにした、大胆な"サッカー比較文化論"!

本田圭佑、岡崎慎司、長友佑都、松井大輔、槇野智章、宮本恒靖、宇佐美貴史、奥寺康彦、パクチソンなど、現役選手や関係者の貴重な証言が満載! 

 

国の文化、特にキリスト教に目を向けた、ユニークなサッカー論となっています。

過去のW杯優勝国は、すべてキリスト教国なんですよね。

サッカーというスポーツの根幹にある精神を、そんなところから紐解いています。

非常に面白い視点だと思いました。

 

大体、タイトルが凄いですよね。

「メッシと滅私」って、どうよ?

要は、個の象徴としての"メッシ"選手と、自己犠牲の精神を基盤とした日本サッカーを象徴する"滅私"を対比したものです。

それだけでも、面白そうでしょ?

サッカーに詳しくない人でも、比較文化論として読めると思います。

W杯を機に、こんな本を読んでみてはいかがですか?

コリーニ事件


連休中に、かなり本を読みました。
その中で、素晴らしい作品に出会うことが出来ました。
フェルディナンド・フォン・シーラッハ作「コリーニ事件」です。

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「コリーニ事件」は、世界でベストセラーになった「犯罪」「罪悪」を書いた現役の刑事弁護士、フェルディナント・フォン・シーラッハによる初の長編小説です。
地元ドイツでは35万部を突破したそうです。
内容は、こんな感じです。

2001年5月、ベルリン。
67歳のイタリア人、コリーニが殺人容疑で逮捕された。
被害者は大金持ちの実業家で、新米弁護士のライネンは気軽に国選弁護人を買ってでてしまう。
だが、コリーニはどうしても殺害動機を話そうとしない。
さらにライネンは被害者が少年時代の親友の祖父だと知る。
公職と私情の狭間で苦悩するライネンと、被害者遺族の依頼で裁判に臨む辣腕弁護士マッティンガーが、法廷で繰り広げる緊迫の攻防戦。
コリーニを凶行に駆り立てた秘めた想い。
そして、ドイツで本当にあった驚くべき"法律の落とし穴"とは...?

「コリーニ事件」は、去年、日本国内で発売され、大変高い評価を得ています。
昨年のベスト10にも、様々入っています。
例えば、以下のようなものです。
*第4位『週刊文春 2013年ミステリーベスト10』海外編
*第8位『ミステリが読みたい!2014年版』海外編
*第16位『このミステリーがすごい!2014年版』海外編

衝撃の(どんでん返し的な)ラストが印象に残る作品かもしれません。
でも、僕は、シーラッハの筆力に圧倒されました。
とことんクールで、感情の起伏をほとんど感じさせない文体です。
それなのに、慈愛に充ち溢れ、人間の悲しみや可笑しみを丁寧に鮮やかに描き切っています。
文章そのものより、その行間をこそ味わうべき作品なのでしょう。
読後、静かに静かに味わいが広がっていく傑作だと思いました。
長編の中では、かなり短いものだと思います。
是非、ご一読下さい。
東京創元社から1728円で発売されています。
ただし、キンドルなら、約400円安く購入することが出来ます。

 

扉は今も閉ざされて

 

 

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"イヤミス"ファンの皆様に、是非、ご紹介したい本があります。
カナダの女性作家、シェヴィー・スティーヴンス作「扉は今も閉ざされて」です。
この作品は、2011年スリラー・アウォード新人賞部門を受賞しています。
初版にして15万部を売り上げたというのですから、大変な話題作ですね。
ストーリーは、こんな感じです。

八月のある日、わたしは誘拐された。
独立した不動産業者として仕事も充実し、順調だった人生は、一変する。
見知らぬ男によって山小屋に監禁され、暴力と歪んだ欲望にさらされる日々。
しかし永遠に続くと思われた地獄から、奇跡的にわたしは生還した、はずだった......。
極限の監禁生活を逃れてなお、主人公を襲う終わらぬ悪夢と新たな危険、そして衝撃の真相とは!?

いやー、実に"イヤ"な展開ですねえ。
不愉快極まりない状況が、執拗に描かれ続けます。
これぞ、"イヤミス"ですね。

ただ、僕としては残念なことがあります。
ラストに、見事などんでん返しが付いているのです。
そんなもの、"イヤミス"には必要ありません。
不条理なまま終わってくれて結構!
整合性など、無用でお願いします。
なーんて言ってる僕にも、ラストにオチを用意してしまう癖があるんですよね。
気をつけよう...。

「扉は今も閉ざされて」は、ハヤカワ文庫から945円で発売されています。
ただし、気持ちの悪い描写が苦手な方は、絶対に読まないでくださいね!
相当、えぐい内容なので...。

 

古めのSF


電子書籍"キンドル"のストアのラインナップには、特徴があります。
ちょっと古めのSF作品が、沢山並んでいるのです。
それも、紙の本では随分前に絶版になってしまっている作品が多々あります。
クラーク、ハインライン、ディック、ヴォネガットほか、偉大な作家の作品が、比較的廉価で読めるのです。
最近のSFは難解過ぎて良く分からなかったりするのですが、上記の作家の作品なら、そんな心配はありません。
質も高く、僕との相性も良いものですから、読みまくっていますよ。
彼らの作品は、表面的にはSFになっていますが、実際には文学です。
その辺の純文学より、遥かに深い人間洞察がなされています。
書かれて半世紀近く経っているものでも、まったく古びていません。
外れが少ない分、自信を持って購入出来ます。
ただ、面白いので、どんどん読めてしまうんですよ。
次々に読みたくなってしまうので、廉価ではあっても、結果的には高くついてしまっているかもしれません。
つまらない作品にお金を払うよりは賢いと思うのですが...。 

野球太郎


本日17時から、プロ野球のドラフト会議が、都内のホテルで行われます。
桐光学園の松井裕樹投手はどの球団に行くのか?
僕が応援している広島カープは、どの選手との交渉権を獲得するのか?
今から、ワクワクしています。

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そのドラフトをより一層面白いものにしてくれるお薦めの本があります。
『野球太郎No.006 2013ドラフト直前大特集号』です。
これは、凄いですよ!
他紙の追随を許さない、圧倒的な情報量です。
全国約300名以上のドラフト候補選手たちを完全網羅!
日本最高レベルの野球ファンから、つい最近高校野球に興味を持った人まで十分楽める内容になっています。

主な内容をご紹介しましょう!

◎2013年決定版・ドラフト候補名鑑
~上位候補から隠し玉まで118名を一挙掲載!

◎2013年ドラフト直前・決定版
ドラフト候補&有望選手リスト〈350名〉

◎プロ野球12球団別・2013ドラフト焦点はここだ!~今年の補強ポイントと構成的戦力不足が一目瞭然。おすすめ選手はコレ!

◎松井裕樹(桐光学園)超マニアック研究
①松井の1年間の変化を追う!
②松井をストップウオッチで測る!
③松井の配球図を読み取る!

◎高校ナンバーワン打者インタビュー 森友哉(大阪桐蔭)の野望

◎〈仮想ドラフト〉安倍昌彦の 一人ドラフト会議
~流しのブルペンキャッチャーが「1人12役」で2013年ドラフトをシミュレーション!

◎プロ球団スカウト20人に聞きました!
~「松井裕樹は即戦力?」「森友哉は捕手?」......スカウト陣の見解は?

◎キビタキビオの炎のストップウオッチャー
ドラフト候補の「実力タイム」

◎12球団ファンクラブ全部に入会してみた!
あの名物社会派企画が『野球太郎』に見参!
~9年間入会し続ける男が選ぶファンクラブ・オブ・ザ・イヤー

これで1500円は安い!
とても分厚い本ですが、僕は、あっという間に完読してしまいました。
ここまで掘り下げて取材してあると、もう他のメディアの報道では物足りないですね。
野球ファン必読です。

僕は、ドラフト会議終了後、この本をもう一度読み直してみるつもりです。
果たして、ここに書かれた予想は当たっているのでしょうか?

 

書くことについて


教えたくない!
でも、教えちゃいます!
本当に素晴らしい本が出版されました。
文章を書いている人、あるいは、今後書こうと思っている人は、是非お読みください。
その本とは、スティーヴン・キングの「書くことについて」です。

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「現代最高の作家は誰だと思いますか?」と尋ねられれば、僕は迷いなくスティーヴン・キングの名を挙げます。
作品のクオリティは勿論、1冊当たりのボリュームも、発表する冊数も、売り上げも、映画化される率も、すべて世界ナンバー1と言って間違いないでしょう。
確かに、気持ちの悪い描写が多いので、読む人を選ぶところはあります。
でも、作家としての技量は、他の追随を許さない圧倒的なものがあると思っています。

「書くことについて」は、そんなモダン・ホラーの巨匠が、苦闘時代からベストセラー作家となるまで、自らの体験に照らし合わせて綴った自伝的文章読本です。
過去に「小説作法」の題名で刊行されたものの、新訳版になります。

「われわれ三文文士の多くもまた、及ばずながら言葉に意を注ぎ、物語を紙の上に紡ぎだす技と術に心を砕いている。本書のなかで、私はいかにして『書くことについて』の技と術に通じるようになったか、いま何を知っているのか、どうやって知ったのかを、できるだけ簡潔に語ろうと思っている。テーマは私の本業であり、言葉である」

序盤は、作家になるまでの苦闘物語から始まり、ドラッグとアルコール漬けの作家生活を語る半自叙伝の回想が綴られています。
続いて、書くために必要となる基本的なスキルが開陳されます。
このパートが凄いんです。
一部を引用しようかと思いましたが、1ヶ所を選ぶことができません。
すべてが重要だし、すべてが面白いんです。
いいものを書くためのキング独自の魔法の技が、惜しげもなく披露されています。
「こんなに明かしちゃって大丈夫なの?」と思うぐらい、書くことの奥義が記されているのです。
もし芸術的文章を書くつもりがあるのなら、この本を読んでからにして下さい。
しかも、定期的に繰り返し読んだ方が良さそうです。
まさに、文章家のバイブルです。
これまで数多くの「文章読本」を読んできましたが、レベルが違います。
自作の売り込み方まで丁寧に書いてあるのも、参考になるかもしれません。

ファンとして嬉しいのは、巻末に、キングが2001年から2009年にかけて読んだ本の中から、ベスト80冊を選んだリストが掲載されていることです。
今後の読書の指針になりますよ。

「書くことについて」は、小学館文庫から出版されています。
840円です。 

 

Kindle Fire HD


昨年末、Kindleを買って以来、本はほとんど電子書籍で読むようになりました。
一度、Kidleを体験してしまうと、もう紙の本は買えなくなってしまいます。
まず、本の価格が安い!
持ち運びが便利!
片手が完全にフリーになるので、読みやすい!
文字を大きく出来るから、目が疲れない!
何より、本棚を必要としないのが嬉しい!
本の選択肢が少ないのが玉にキズですが、今後は、絶対に増えてくると思います。
その代わりに、すでに絶版になって久しいSFの古典的名著が、多数、電子書籍化されているのが、僕には有難いんですよ。
Kindle導入以降、確実に、読書量が増えました。

そして、ついに僕は、Kindle Fire HDを買ってしまいました。
これは、電子書籍に特化した端末ではなく、持ち運びの出来るPCみたいなものです。
いわば、アマゾン版のi-padです。
これも、また、良いですね!
特長を挙げてみましょう。

  • アプリ、ゲーム、音楽、本、映画などのエンターテインメントから、インターネットやEメールまで、1台で楽しめるタブレット
  • 豊富なコンテンツ - 音楽や本、HuluやTSUTAYA TVなどのアプリ、Angry Birds Spaceなどの人気ゲーム
  • FacebookやTwitter、Gmail、Hotmail、Yahoo!に加え、Exchangeのカレンダーや連絡先、Eメールとの連携をサポート
  • 前面のHDカメラでSkypeの無料ビデオ通話に対応
  • 無料で好きなだけAmazonコンテンツを保存できるクラウド
  • 1280 x 800の美しい高解像度HDディスプレイ
  • 偏光フィルターと反射防止技術を採用し、どんなアングルからでも鮮やかなカラーと深みのあるコントラストを表現
  • バーチャル・サラウンドで音場をリアルに再現する、デュアルドライバ・ステレオスピーカーと専用に作りこまれたドルビーオーディオ
  • タブレットとして世界初のデュアルアンテナとデュアルバンドWi-Fiで、iPad miniより40%速いダウンロードとストリーミング
  • サクサク滑らかな動作を実現する、1.2GhzのデュアルコアプロセッサーとImagination製PowerVR 3Dグラフィックスを搭載


これさえあれば、大概の用は足りてしまいます。
特に気に入ったのは、音楽ソフトを、ワンクリックで買えることです。
しかも、Kindleで音楽を再生しても、結構、音質が良いんですよね。
さらに、販売されている音源が渋い!
国内ではなかなか手に入らないモノが、沢山、カタログに載っています。
色々、試聴していますが、それだけでも楽しいですね。

唯一の欠点は、本体が395グラムと、ちょっとだけ重たいんです。
また、7インチ・ディスプレイのモノを買ってしまったので、片手で持つには少し大きすぎます。
ですから、自宅では、Kidle Fire HDを、外出する時は従来のKidleを使うようになると思います。

電子書籍に興味のある皆さんは、良く下調べをしてから購入された方が良いでしょうね。
Kindle以外にも様々な電子書籍がありますから、自分のライフスタイルに合ったモノを探してお求めになった方が賢明です。
環境によっては、自宅で電子書籍が使えない場合がありますので、十分ご注意下さい。 

 

メッタ斬り!


国民的大作家の作品を受け付けない僕を納得させてくれる書評本を読みましたよ!
「大森望、豊崎由美の村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』メッタ斬り!」です。
これは、お見事です。
とにかく面白い本です。
僕は、何度も爆笑してしまいました。
さらに、僕が村上作品に違和感を感じていた理由も、はっきり分かりました。
村上先生のファンの方が読んだらきっと頭に来ると思いますが、絶対に痛いところを突いている筈です。
作品の問題点だけではなく、この現象の異常さもしっかり指摘しています。
なにより、今、村上先生を批判する本を、堂々と発表する勇気が素晴らしい!
大森さんと豊崎さんに拍手を贈りたいと思います。
村上作品そのものを読まなくても、その本質が分かる傑作です。
しかも、安い(280円)!
「大森望、豊崎由美の村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』メッタ斬り!」は、すべての電子書籍のブックストアで購入出来ます。
是非、ご一読を!

ロウフィールド館の惨劇

 

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恥ずかしながら、このたび、初めて、「ロウフィールド館の惨劇」を読みました。

この作品は、犯罪者の異常な心理を描く名手と呼ばれる、ルース・レンデルの代表作です。
1977年に発表されていますから、36年前の作品なんですね。
しかし、永遠不滅の輝きを持つ傑作中の傑作ですから、古臭さは一切感じられません。
テーマが、人間の内面に潜む"暗黒"ですから、古くなりようがありません。
でも、もっと早く読んでおけば良かった...。

ユーニス・パーチマンがカヴァデイル家の一家四人を惨殺したのは、彼女が"文字が読めなかった"からである。
ユーニスは有能な召使だった。
家事万端完璧にこなし、広壮なロウフィールド館をチリひとつなく磨きあげた。
ただ、何事にも彼女は無感動だった。
その沈黙の裏で、ユーニスは死ぬほど怯えて。
自分の秘密が暴露されることを...。
一家の"善意"が、ついにその秘密をあばいた時、すべての歯車が惨劇に向けて回転をはじめた...。

冒頭の2行だけで、事件・犯人・被害者、動機までを、すべて明かしてあります。
こんなミステリー、読んだことがありません。
全部ネタバレしているのですが、だからこそ、その惨劇にいたる過程をワクワクしながら読める構造になっています。
登場人物が何か行動するたびに、破局へ進むスピードが増していきます。
読者は結末を知っているだけに、被害者たちに、「ああ、そんなことをしちゃダメだ!」と、忠告してあげたくなります。
しかし、運命の歯車を止めることは出来ず、読者は恐怖とフラストレーションを満喫することになるのです。
ラストのモヤモヤ感なんて、最高です。
静かに静かに進行していくレンデルの文体を味わうのは、至高の喜びであります。
"ぷにぷにパイレーツ"の陰鬱な作風をお好きな方なら、絶対、気に入ると思います。
角川文庫から、580円で発売されています。
是非、ご一読下さい。

あなたの周りにも、きっと、ユーニスはいる筈です。
いや!ひょっとすると、あなた自身が、ユーニスなのかも...。

グーテンベルグ以来の革命


以前、Kindleについてご紹介したところ、もっと詳しく知りたいという方が大勢いらっしゃいました。
もう少々、その長所をご紹介します。

Kindleを購入して以来、僕の読書量は大幅に増加しました。
その理由は、Kindleの読みやすさにあります。
確かに、慣れるまでは、画面にちょっと違和感を感じた部分もあります。
でも、時間とともに、紙の本よりKindleの方が読みやすくなっていったのです。
まず、文字の大きさを自由に選択できるので、体調によって微妙にフォントを変えて読むことが出来ます。
また、ページをめくる必要がないので、片手がフリーになるのも有難いですよね。
通勤電車内で、片手は吊革、片手はKindleというスタイルは、実に便利ですよ。
活字中毒の僕は、出張に行ったりする時、以前は鞄に重たい本を沢山入れていったものです。
でも、今はKindleの中に物凄い数の書籍が入っていますから、帰りの新幹線で読む本がなくなって呆然とすることもなくなりました。
しかも、書店に行かなくても、本が買えるのが便利なんですよ。
その辺を詳しく説明しましょう。

電子書籍を購入するのは、実に簡単です。
画面上部に表示されるカートアイコンをタッチすると、電子書籍書店「Kindleストア」に接続します。
そこで読みたい本を選び、瞬時に購入ができます。
ダウンロードには、ほんの数秒しか掛かりません。
本の価格は、大概、紙の本の2割~5割引き。
著作権の切れた芥川龍之介や夏目漱石らの古典作品は、みんな無料で購入可能!
さらに、試し読みをしたい場合には、かなりの分量のサンプルが、無料で届きます。
(凄いページ数だったので、驚きました!)

僕が最も気に入っているのは、小さな端末に1000冊もの書籍が保存できることです。
1000冊の本がどれだけのスペースを必要とするか、どれだけ重いものか、考えてみて下さい。
(1000冊を超えたら、無料でクラウドに保管されます)
また、1個人が所有する複数のKindle端末での同期機能も備えています。
購入したコンテンツはすべてクラウドにバックアップされ、同じアカウントを登録したKindle端末であれば再ダウンロードできるんです。
加えて、ブックマークデータも同期されているため、途中まで読んだ本の続きを、別のKindle端末で読むことも可能です。

この他、長所を挙げていけばキリがありません。
電子書籍の誕生は、グーテンベルグの活版印刷の登場以来の革命です。
一度この便利さを味わってしまうと、絶対に後戻りは出来ません。
自社が保有しているコンテンツを電子化しようとしない出版社もありますが、時代の波には抗えないことでしょう。

今後の課題もないわけではありません。
アマゾン以外の各社も、様々な電子書籍端末を発売しています。
互いに熾烈な競争を繰り広げています。
当然、淘汰されてしまう機種もあることでしょう。
外れを掴まないように、世の中の情勢を見つめておくことも大切ですね。

Kindleについて


Kindle購入をお考えの方に、簡単なレクチャーを!

Kindleの最新機種には、電子ペーパーを採用したKindle Paperwhiteと、アンドロイドOSがベースとなったKindle Fireの2種類があります。
さらに、Kindle Paperwhiteには、Wi-Fi(無線LAN)モデルと3G(第3世代携帯電話)モデルがあります。
Kindle Fireには、通常モデルとHD(ハイビジョン)モデルがあって、どれを買えば良いのか分かりませんよね。

僕は、Kindle paperwhiteのWi-Fi版を選びました。
価格が7980円というのが魅力でした。
また、我が家に無線ルーターがあったのも、幸いでした。
でも、皆さんには、Wi-Fi環境がない場所でも使えるので、1万2980円の3G版をお薦めします。
携帯電話会社の3Gネットワークで通信できるため、いつでも場所を選ばずに本が購入できるのです。
しかも、3G回線の使用料は無料です。

カラー画面で読書を楽しみたいなら、Kindle Fireをチョイスして下さい。
通常モデルとHDモデルの2種類がありますが、最大の違いは、画面の解像度だそうです。
また、内蔵メモリーは、通常モデルが8GBで、HDモデルが16GBと32GBの2タイプがあります。
HDモデルでは、ドルビー対応のステレオスピーカーが搭載されていて、音楽や映像を迫力ある音で楽しめます。
音楽や動画などのAVコンテンツを楽しみたい方は、32GBを選ぶべきでしょう。

読書をする場合、どうすれば良いかを説明しましょう。
Kindle Paperwhiteでは、起動画面から本の表紙をタッチするか、読みたい本を検索してタイトルをタッチします。
ページをめくる時も、画面をタッチするだけです。
(右隅をタッチすれば、ページが戻ります)
ディスプレイは、独自の内蔵ライトで照らされています。
コントラスト比も高めに設定されていますので、文字は、とても読みやすいです。
画面の明るさ、文字の大きさ、行間、周りの余白など、細かい変更が可能です。
長時間に渡って読書をしても、電子ペーパーだと、あまり目は疲れません。
パソコンの画面を見つめているのとは、全然感覚が違います。
明るい所で、紙の本を読んでいるのと、ほとんど変わりません。

意味の分からない単語が出てきたら、それを、少し長めにタッチして下さい。
小さい辞書が立ち上がり、解説してくれます。
読書のペースを計時しており、読み終わるまであと何分掛かるかも、小さく表示されます。
凄いと思ったのは、本で人と人をつなぐソーシャルリーディング機能が充実している点です。
FacebookやTwitterのアカウントをKindle端末に設定しておけば、今読んでいる本についての情報を簡単な操作で投稿できるんです。
自分の気に入った文章をハイライトさせ、他のKindleユーザーとシェアすることも可能です。
要は、必要な部分をタッチすれば、その文章がメモ化され、様々な使い方が出来るんです。

長くなったので、続きは、またいつか!

Kindleは買い!


先日を購入をお伝えして以来、僕に問い合わせが相次いでいます。
今日は、その評価を、はっきりお伝えします。
ずばり、"Kindle"は買いです!
僕はもう、Kindleでしか本を買おうとは思いません。
実際に手にするまで、こんなに良いとは思っていませんでした。
「これまで紙の本を読んでいたのは何だったんだろう?」と思うぐらいです。
従来の本とは比べ物になりません。
紙の書籍が電子書籍に取って代わられるのは、時間の問題です。
LPがCDに、FAXが電子メールに、フィルム式カメラがデジカメに移行していったのと同じです。
この流れを止めることは、絶対に出来ません。
慣れやノスタルジーの問題等ありますが、一度"Kindle"を手にとって見て下さい。
その良さが分かりますから...。
kindleについては、また、より詳しくお伝えします。

『罪悪』


2012年も、残すところあと2日。
今日は、僕が選んだ、今年発行された書籍のナンバー1をご紹介します!
文句なし!ダントツの良さで、今年のベスト1は、フェルディナント・フォン・シーラッハの『罪悪』です。

罪悪.jpg


罪人になるのは簡単なのに、世界は何も変わらない。
ふるさと祭りの最中に突発する、ブラスバンドの男たちによる集団暴行事件。
秘密結社イルミナティにかぶれる男子寄宿学校生らの、"生け贄"の生徒へのいじめが引き起こす悲劇。
何不自由ない暮らしを送る主婦が続ける窃盗事件。
弁護士の「私」は、さまざまな罪のかたちを静かに語り出す...。

昨年「このミステリーがすごい!」第2位など、年末ベストを総なめにした『犯罪』に比肩する傑作です。
作者は、1964年ドイツ、ミュンヘン生まれで、ナチ党全国青少年最高指導者バルドゥール・フォン・シーラッハの孫に当たります。
1994年から、ベルリンで、刑事事件弁護士として活躍しています。
処女作であるVerbrechen(2009)がドイツで大ベストセラーとなり、クライスト賞など多数の文学賞を受賞しました。
2010年には、第二作Schuldを刊行しました。

『罪悪』に収められた15篇はどれも、"罪悪"のそばに居合わせてしまった人々を、ヴィヴィッドに描きだしています。
その姿は醜く、無力で、どうしようもなく愚かです。
でも、同時に、とても美しく感じるのです。
荒れ果てた廃墟の中に美を見出すのと同じ感覚です。

たとえば冒頭の『ふるさと祭り』では、祭りで、若い女性が酒に酔った楽団員たちに輪姦されます。
(その描写の生々しさったら...)
黙秘する八人の楽団員のうち、一人が通報しますが、結果的に何も立証されず、被疑者たちは元の良き夫・良き父親に戻っていきます。
ここでの"罪悪"の焦点は、楽団員ではなく、彼らを弁護した若き弁護士に置かれています。
初仕事を成功裡に終わらせた彼は、もはや自分が罪なき身でなくなったことを悟るのです。

『家族』の依頼人・ヴァラーも、"罪悪"を肌で感じる一人です。
父と幼いヴァラーを捨てて再婚した母は、アルコール依存症で早死にします。
母の生んだ異父弟も、酒を飲んでは、犯罪を重ねています。
会ったことのない異父弟の弁護を依頼してきたヴァラーは、あるとき、父にも盗みや強姦の犯罪歴があったことを明かします。
ヴァラー自身は、きわめて優秀な成功した人間です。
「私たちで終わりにしたほうがいい」と言う彼の憂鬱、顔のよく似た亡き父への言いしれぬ思い...。
ごく短い小品ですが、圧倒的な感動と余韻をもたらしてくれます。

日本ではミステリーとして扱われてはいますが、僕の感覚からすると、カフカやカミュの作品をイメージした方が近いかもしれません。
普遍的なスケールを持った作品集です。
是非、『犯罪』とともに、この年末年始にご一読頂きたいと思います。
出版社は、東京創元社。
価格は(税別で)1800円です。

 

 

再読


今話題の、"Kindle"を注文してしまいました。
間もなく、商品が、到着します。
今後は、出来るだけ、電子書籍を購入しようと思っています。
先月、1200冊もの本を売却し、ようやく家のスペースにゆとりが生まれたんです。
これ以上、モノを増やしたくないんですよね。

そんな訳で、Kindle到着まで、僕は新しい本を買うことをストップしています。
仕方ないので、今持っている本を読み返しています。
すると、新しい発見が沢山あるんですよ。
「前回は、何を読んでたんだ?」って突っ込みたくなるぐらい、自分の読み方の甘さに愕然とします。
新刊を初読するより、良い本を再読する方が、遥かに面白いですね。
たとえ、結末を知っていたとしても、面白さは、1回目の読書から倍増します。
文章そのものや構成力に目がいくようになるので、より本質が見えてくるんでしょうね。
再読、いいですよー!

不要本を処分

 

収集した本が部屋中に溢れかえって、収拾がつかなくなりました。
そこで、思い切って、不要な本を処分することにしました。
現在、その選別作業に取り掛かっております。

不要とする基準は、以下の通りです。
①1回しか読んでいない本
②過去2年間に1度も手にしていない本
③時とともに改訂必至の本
④上下巻に分かれるような大長編
⑤必要な時に、いつでも図書館で簡単に借りられそうな本
この5項目のどれか一つにでも引っ掛かれば、処分することにしています。

心を鬼にして選別中ですが、なかなか思うように捗りません。
それでも、現段階で、段ボール箱10箱分は処分出来ることになりました。
1箱に、普通の本なら100冊、文庫本なら120冊は入るそうです。
ということは、1000冊以上を処分することになります。
なんともまあ、実に沢山の無駄な本を抱え込み続けてきたんですね。
自分の愚かさに呆れかえってしまいます。

でも、まだまだ現状では甘い。
もっともっと処分するぞ!
えいえい、おーー! 

ドロレス・クレイボーン


先日、「解雇手当」という小説をご紹介したところ、沢山の反響を頂きました。
ですから、今後も面白い本に出会った時には、お知らせしていきたいと思っています。
早速、今日は、スティーヴン・キング作「ドロレス・クレイボーン」を、ご紹介いたします。

そう、たしかにあたしは亭主を殺したさ...。
30年前に夫を殺したと噂される老女ドロレスに、再び殺人の容疑が。
彼女の口から明かされる二つの死の真相-皆既日食の悪夢のような風景のなかに甦る忌まわしい秘密。
罪が生み出す魂の闇。
キングの緻密な筆がアメリカの女性の悲劇を余すところなく描き出す、慟哭の心理ミステリー。

虐げられた女がひとり日食の闇のなかに立ち上がる。

ステーヴン・キングの作品に対して、皆さんは、どんな印象をお持ちでしょうか?
やはり、超常現象や超能力、宇宙生命体の襲来など、非現実的な恐ろしい出来事を、圧倒的なリアリズムで読ませる作家というイメージだと思います。
しかし、「ドロレス・クレイボーン」には、そんな、ありえない出来事は一つも起こりません。
ごくありきたりの主婦が、夫を殺すだけのお話です。
特に大きな展開もなく、どんでん返しもありません。
最初から、ドロレスは殺人を自白していますから、犯人探しの楽しみもありません。
結局、逮捕された老女が、淡々と(?)過去を振り返って話すだけの物語です。
作家によっては、数十ページで済んでしまうスケールのストーリーです。
それを、キングは、約350ページに渡って、丁寧に丁寧に描いていきます。
きっと、ストーリー展開だけを求める読者には、まどろっこしく感じられることでしょう。
でも、キングの細やかな描写の中に、この世のすべての真実が描き出されています。
また、その筆力により、ドロレスが実在し、すぐそこで生きているような錯覚を覚えます。
驚異的なリアリズムが、終盤訪れる、悲しみの境地を生み出しているのです。
キングの圧倒的な文章力に、僕は、毎度、ノックアウトされてしまいます。
キング作品の大半が映画化されていますが、どれも今一つと感じるのは、キングの文章力に映像が追いつかないからでしょう。
僕は、(純文学も含めて)現代最高の作家は、間違いなく、スティーヴン・キングだと思っています。
不気味な話が多いので、キングを敬遠している方も少なくないと思いますが、残念なことです。
そんな人には、まず、「ドロレス・クレイボーン」をお薦めいたします。
気持ち悪い描写は、そんなに出てきませんので...。
(ただ、執拗なる便秘の描写には驚かれるかもしれませんね)

「ドロレス・クレイボーン」のラストには、"スクラップブック"というパートが付いています。
そこでは、ポジティブなエンディングが、新聞記事によって暗示されています。
この"スクラップブック"があった方が良いのかどうか、色んな意見があると思います。
ちなみに、僕は、無い方が好きですね。
あなたは、どう感じるでしょうか?

「ドロレス・クレイボーン」は、1998年に文庫化されたものなので、一般の書店での入手は難しいでしょう。
古書店か図書館で探してみて下さい。

解雇手当

 

 

解雇手当.jpg

 

僕は、異常な程、本を読みます。
大概のパターンを、既に、読み尽くした感があります。
しかし、時には、かつて読んだことのないような、画期的な作品に出会うことがあります。
先日、まったく新しいスタイルの小説に出会い、大変な感動を覚えました。
恐らく、皆さんにとっても、これまで一度も味わったことのないような、新感覚ミステリーだと思います。
その本のタイトルは、「解雇手当」です。

【業務命令--全員、死ね!】
「これからきみたち全員を殺す」
社長がそう宣言したとき、36階のオフィスは脱出不可能の牢獄と化していた。
通信回線は不通、携帯電話は使えず、エレベーターも止められた。
階段のドアには猛毒のサリンを噴出する装置が仕掛けられている。
閉じ込められた男女は毒を飲んで自殺するか、射殺されるか、究極の選択を迫られる!
脱出するのは誰か?
それとも全滅か?

"鬼才が放つ、ハイパー版『そして誰もいなくなった』"というキャッチフレーズですが、そんな生ぬるいものではありません。
クリスティのあの名作を、100倍早回しにしたようなスピード感です。
誰が正義で、誰が悪か、まったく分かりません。
罠を掛けたり、見破ったり、裏切ったり、次のページの展開がまったく読めない、ジェットコースターのような展開です。
暴力的表現が目白押しで、指が潰れるとか、手首を切り落とす描写なんて、可愛いモノです。
残酷な表現が苦手な方は、読まない方が賢明です。
伏線も張られておらず、展開はハチャメチャで、深みのある作品ではありません。
ラストまで読んでも、結局、真相は明らかになりません。
ですから、真面目な方や、洒落の通じない方にもお薦め出来ません。
ただ、このスピード感は、小説史上最高のものではないでしょうか?
展開の大きさも、唯一無二のものです。
登場人物のキャラクターも立っていて、どれも魅力的です(チョイ役ですら、そうです)。
とにかく、小説で新しい体験をしてみたいチャレンジャーの方には、是非ともお薦めしたいと思います。
そして、この文体を、思う存分楽しんでみて下さい。

演劇では、これだけダイナミックな展開は難しいですね。
お客様が付いて来ない早さです。
はっきり言ってスピード違反です。
こんな感覚で芝居が作れたら、スタイリッシュだろうなあ...。

●「解雇手当」
ドゥエイン・スウィアジンスキー 著
公手成幸 訳
ハヤカワミステリ文庫
966円
2009年6月発売 

隣の家の少女


先日、「イヤミス」が静かなブームになっていることを、ご紹介しました。
「イヤミス」とは、嫌な後味の残るミステリーのことです。
その「イヤミス」を代表する作品といえば、多くの人が、この本を挙げるのではないでしょうか?
ジャック・ケッチャム作「隣の家の少女」です。

1958年夏。
当時、12歳のわたしは、隣の家に引っ越して来た美しい少女メグと出会い、一瞬にして、心を奪われる。
メグと妹のスーザンは両親を交通事故で亡くし、隣のルース・チャンドラーに引き取られて来たのだった。
隣家の少女に心躍らせるわたしは、ある日、ルースが姉妹を折檻している場面に出会いショックを受けるが、ただ傍観しているだけだった。
ルースの虐待は日に日にひどくなり、やがてメグは地下室に監禁され、さらに残酷な暴行を-。

あのスティーブン・キングが絶賛したという伝説の名作だけあって、最高に不愉快な話です。
誰が読んでも、嫌な気分になること間違いなし!
イメージ力が豊かな人なら、吐き気を催す可能性もあります。
「これでもか!」とエスカレートしていく折檻は、まさに異常!
グロテスクの境地と言っても、過言ではありません。
キャッチコピーには「あなたは最後まで読めるか?」とありますが、その通りの内容になっています。

しかし、ケッチャムの文章力は圧倒的です。
内容は不愉快でも、読み進めずにはいられなくなる筈です。
書き手のスタミナが十分だからこそ、これだけの文章が書けるのだと思います。
ですから、読み手にも、相当なパワーを要求されます。
じゃないと、読んでいて、吹き飛ばされてしまいますよ!
文章を書くには頭脳も大切ですけど、体力はもっと必要なんですね。
特に、精神的スタミナは必須です。
それを鍛えるためにも、是非、「隣の家の少女」を読むことをお薦めします。
ただし、心臓の弱い方は、お読みにならない方が良いでしょう。
また、読後、夜眠れなくなっても、当方は一切関知しませんので、そのつもりで...。

興味のある方は、書店で、最初の1ページだけでも立ち読みしてみて下さい。
それで、買わずに帰れる人は、相当な気力の持ち主だと思います!

 

フランクを始末するには


今日は、お薦めの本をご紹介させて頂きます。
アントニー・マン著、玉木亨訳の、『フランクを始末するには』という短編集です。
まずは、内容から!

フランク・ヒューイットは芸能界の大スター。
殺し屋の"わたし"は彼の殺害を依頼され......。
二転三転するスター暗殺劇の意外な顛末を描いた英国推理作家協会短篇賞受賞の表題作のほか、刑事の相棒に赤ん坊が採用され一緒に捜査を行う「マイロとおれ」、買いものリストだけで成り立つ異色作、ミステリ出版界の裏事情を語る一篇など、多彩な12作で構成されています。

日本のミステリ雑誌にいくつか作品が紹介されたことはあるようですが、アントニー・マンの作品がまとまって本になるのは、本邦初のことだそうです。
実際、これまで、日本でブレークしなかったのも頷けるところがあります。
なんとも、奇妙な味わいを持った作品ばかりだからです。
推理小説でもなければ、スリラーでもない。
手に汗握る緊張感もなければ、強烈などんでん返しもない。
あえて言うなら、ユーモア小説の範疇に入るのかもしれませんが、その割りには不気味なんですよね。
こういった、ジャンル分け出来ない小説って、日本では人気が出にくいようなんですよね。

ただ、マンの作品には、他の作家では絶対に出せない、独特の旨みがあるんですよ。
訳の分からない設定ではあるのですが、まるでそれが当たり前であるかのようにストーリーを進めていくと、実に不可思議な結末を迎えることになります。
読後のモヤモヤした感覚は、初めて体験するものかもしれません。
きっと、「何じゃ、こりゃ!」とお怒りになる方も多いことでしょう。
(万人にお薦め出来る本ではありません)
でも、珍しい小説、ユニークなスタイルを求めている新しモノ好きな方なら、きっとご堪能頂けることと思います。

『フランクを始末するには』採録作品の中で、僕が最も気に入ったのは、「買いもの」という小品です。
"お買いものリスト"だけで、進行していきます。
メモを書いている人がだんだん変な物を買うようになっていき、それで、この人物に起きていることや精神状態が全て分かるというものです。この手法を思い付いたマンは、本当にカッコいい!
僕も、こんな作品をやってみたかったです。
でも、同じことをやると二番煎じになってしまいますから、実に悔しいですね。
何かしら作品を作っている人なら、きっと地団太踏むような作品が沢山詰まっている筈です。

『フランクを始末するには』は、今年のミステリランキングの上位に食い込むことは間違いありません。
「自分の趣味は、ちょっと変わっている...」という自覚のある方は、是非、ご一読下さい。
ただし、あなたのお好みに合わなくても、当方は一切関知いたしませんので、そのおつもりで...。

『フランクを始末するには』は、創元推理文庫から発売されています。
価格は、880円(+消費税)です。

 

恐怖の環境テロリスト

 

一昨年、ぷにぷにパイレーツは、「ノーモア納豆」という社会風刺コントを上演いたしました。
この作品は、環境テロリストを主人公としたものです。
過激な"動物愛護主義者"が、納豆菌の保護を始めるというお話です。
かなりナンセンスなテイストでまとめたので、「そんなバカな!」というあり得ない展開にしたつもりだったんです。
ところが、現実は、僕の考えが及ばない程、クレイジーな状況に追い込まれていたんですね。
先月末に、新潮選書から出版された『恐怖の環境テロリスト』を読んで、そう思いました。

環境のためなら人でも殺す。
調査捕鯨船に高速艇で体当たり、イルカ漁師に暴言連発、製薬会社に放火攻撃--。
奴らは「お騒がせ集団」なんかじゃない。
カルト的思想と違法手段で武装した環境テロリストだ。
背後には彼らを英雄扱いして稼ぐ世界的TVチャンネル、ショーン・ペンらハリウッドの大御所達。
巨額のカネで繋がった"動物愛護業界"とは何なのか?
なぜ今日本を狙うのか?
黒い活動家の正体を暴く...。
そんな内容の新書です。

環境保護や動物愛護を名目に、デモや放火、酷い時には爆破まで辞さない...。
これは、まさに犯罪です。
FBIは、この犯罪形態を、エコ・テロリズムと定義しています。
1997年に、医薬品開発のため動物実験を行うイギリスの企業が標的になったケースでは、活動家が社員の自宅に押し寄せたり、社長を襲って大ケガを負わせたりしています。
取引銀行までも脅迫し、この企業を、倒産寸前にまで追い込んでいます。

日本では、主にシー・シェパードの活動が報道されていますが、彼らはまだ穏健派なんだそうです。
欧米で大暴れしてきた『動物解放戦線』や『SHAC』は、まさにプロのテロリスト集団です。
そんな彼らの次の標的は、日本!
捕鯨だけでなく、畜産業、森林関連産業、外食産業...、様々な面から、彼らは容赦なく攻撃してくる筈です。
その実態を、皆さんにも、是非知って頂きたいと思います。

「ノーモア納豆」は、時代を先取りし過ぎていたのかもしれません。
これからが、本格的な、環境テロリストの時代なのですから...。 

 

アラビアンナイト

「春風の中で楽しむ世界の童話」の公演まで、あと4日!
毎朝、一人で、地味に稽古していますよ。
すでにお知らせしているように、僕は、「アリババと四十人のどろぼう」を読みます。
この作品、実は、菊池寛が書いたものなんです。
菊池寛は、他にも、『アラビアンナイト』から題材を採った「アラジンとふしぎなランプ」や「船乗シンドバッド」を執筆しています。
いずれも、子ども向けに、分かりやすい文章で書いてあります。
是非、一度お読み頂きたいと思います。
菊池寛作『アラビアンナイト』は、"舵社"という出版社から発売されています。
"デカ文字文庫"なので、字が大きくて読みやすいですよ。 

 

時間の種

 

昨日、久し振りに、本屋さんに行きました。

そしていつものように、創元推理文庫のコーナーを物色しました。

すると、どうでしょう!

欲しい本が、やけに沢山あるんです。

しかも、これまで見たことのないタイトルが、ズラリと、平積みされています。

どうやら、一度に沢山、僕好みの本が出版されたようなんです。

そんな本は、数か月に1点出れば良い方なのに、一気に10冊近くもリリースされるなんて信じられません。

何で、そんな嬉しい事が起こったのでしょう?

 

そのうちの一冊を手に取り、帯に書いてある文字を読んで、僕は納得しました。

それは、入手困難だった名作を集めた「復刊フェア2011」の本だったのです。

品切れ中の文庫作品を対象に、ツイッターで実施したアンケートの結果を参照し、選ばれた銘柄を復刻したそうなんです。

ですから、粒ぞろいの作品群となっていたんですね。

早速、僕は、ジョン・ウィンダム作「時間の種」と、ウィリアム・アイリッシュの「ニューヨーク・ブルース」を購入!

そして、今度は何を買おうか、考えている所です(多分、フレドリック・ブラウンの「73光年の妖怪」になるでしょう)。

 

推理小説や、サスペンス、怪奇、SF好きの皆さん!

是非、創元推理文庫の復刊フェアをお見逃しなく。

急がないと、すぐまた、入手できなくなってしまいますよ!

詳しくは、こちらをご覧下さい。

http://www.tsogen.co.jp/np/archive/fukkan/2011092601

岸田國士戯曲選集Ⅰ

 

ハヤカワ演劇文庫から、日本現代演劇の父とされる劇作家、岸田國士の戯曲選集の第1巻が発売されました。

今では、"岸田國士演劇賞"で名前を聞く程度で、実際に、その作品が上演されることは滅多にありません。

岸田今日子さんのお父さんと言えば、なんとなくイメージが出来るでしょうか?

久保田万太郎らと"文学座"を創設した人でもあります。

まさに、今の演劇界に多大な影響を与えた人なんです。

ただ、最近は、その脚本を読むこと自体が難しくなっていたんですよね。

1989年には、『岸田國士全集』が岩波書店から発売されましたが、なにせ全28巻の超大作です。

誰もが気軽に手にすることは出来ません。

そういった意味で、今回の文庫化は、快挙と呼べるかもしれません。

演劇に携わる者なら、一度は必ず、目を通しておきたい劇作家ですからね。

 

僕も、今回、久し振りに岸田國士の作品を読み直しましたが、とても新鮮な印象を受けました。

1920年代に書かれた作品ですから、風俗や生活習慣等はさすがに古臭いのですが、作風や筆致が非常にモダンなのです。

ある種、前衛的な空気すら感じてしまう程です。

ご本人も認めていらっしゃいますが、別役実先生が多大な影響を受けていらっしゃるのが良く分かります。

とにかく、文体や会話の転がし方がそっくりなんです。

また、暗いテーマでも、どこかしら陽気な雰囲気が漂っているのも魅力ですね。

(僕は、どんなにナンセンスなコントを書いても、絶対に陰気なムードに包まれてしまいます。これは、どっちが良いとかいう問題ではありません。その人が、本来持っている資質ですから、どうしようもないのです)

それに、短編や中編ばかりというのも、僕が気に入っている要素の一つです。

様々な面で、大変参考になる戯曲集でした。

 

今の演劇界が置き去りにしてきたある種の演劇の良さが、岸田國士の戯曲選集には詰まっています。

この辺で、今一度、岸田國士に立ち返って、演劇について考えてみるのも良いことだと思います。

演劇人の皆さん、是非、この機会にお読みになってみて下さい。

定価は、1200円(+税)です。

時の商人

 

フランス戯曲大賞を受賞した戯曲『時の商人』を読んでみました。

1963年生まれの劇作家・演出家、ジョエル・ポムラが2006年に発表したモノです。

『時の商人』は寓話劇で、同時に二つの形式で観客に語られていきます。

一つは語り手の言葉。

もう一つは、一連の無声の場面で、様々な登場人物が、様々な場所で行う行為が混在しています。

つまり、この作品のエクリチュールは、二つの次元が合わさって構成されているのです。

 

「私にとって戯曲というのは、舞台の残りかすのようなものなんです」

「テクストを書くという作業と演出という作業とを緊密に結び合わせることなしには、演劇の作者にはなれない。この二つの段階を異なる性質のものと捉えるのは、誤りだと思う」

ポムラは、「戯曲は、舞台の一要素を抜き出したものに過ぎない」と思っています。

ですから、ポムラは、まず劇場に舞台装置と照明を組み、そこに俳優が入って、初めてセリフを書き始めるそうです(なんと贅沢な!)。

俳優には断片的なメモのみを渡し、俳優たちと一緒に場面を作り上げていく手法を採っているんですって!

こうすることで、ポムラは、脚本に書きすぎないようにしています。

「劇作家は、自分の意図や意見を過剰に明瞭にしたり、書き方を単純化したりする」と警告もしています。

今の時代、演出家の意識を持たない劇作家に、リアリティは求められないのかもしれません。

 

『時の商人』は、一見、前衛的な脚本に見えます。

でも、上演をイメージすれば、とてもスタイリッシュでカッコいい作品だということが分かります。

テーマ性もはっきり前面に打ち出してあり、決して難解ではありません。

ただ、「演出こそ命」という作品ですから、誰が演出するかで、その評価は一変してしまいます。

色々な演出家で、見比べてみたいと思いました。

 

日本では、ここまで芸術性の高い戯曲を上演することは滅多にありません。

改めて、フランス演劇の懐の深さを痛感させられました。

世界最先端の演劇を味わってみたい方は、是非、『時の商人』を読んでみて下さい。

れんが書房新社から出版されていて、比較的容易に入手できると思います(定価1000円+税)。

大典礼

 

アラバール戯曲集第4巻「大典礼」を購入しました。

今から26年前に発行された本が、1冊だけ、新宿・紀伊国屋に残っていました。

勿論、今は絶版になっています。

ラッキー!

 

アラバールは、ベケットやイヨネスコと同時代の、スペインの前衛劇作家です。

「戦場のピクニック」や「建築家とアッシリアの皇帝」といった作品で、有名ですね。

非常に難解な作風ではありますが、どことなく滑稽な空気が漂っています。

随所にギャグやジョークが織り交ぜられているのが、他の不条理作家との違いかもしれません。

(実際に上演すると、そのギャグは、大概、すべりますけど…)

スペイン内乱戦争時代に活躍した作家なので、反戦をテーマにした作品も多いのですが、どことなくふざけているように感じるんですよね。

その辺りが、僕の感性にぴったりくるんです。

(ぷにぷにの戯曲にも、シリアスなテーマをふざけたタッチで描くモノが多いでしょ?)

「大典礼」を読み込んで、自分の劇作の参考にさせて頂きたいと思っています。

 

残念なことに、アラバールの作品は、現在、ほとんど上演されなくなってしまいました。

でも、1980年頃までは、パルコ劇場のような大きな劇場にも掛けられていた、人気レパートリーだったんですよ。

僕も、幾つかの劇団の上演を見たことがあります。

そのほとんどが、難解さを前面に押し出し、滑稽さを感じさせない演出でした。

当時、観劇しながら、「勿体ないなあ…」と思っていたのを思い出します。

なぜ、現在、アラバール作品が上演されなくなってしまったのでしょうね?

迷走する社会には、ピッタリの作品だと思うのですが…。

アラバール自身は、「60年代の異常な激動が沈静すると、演劇界も火が消えたように沈滞してしまった」と言っています。

アラバールのエネルギーと諧謔に満ちた作品は、勢いを失った今の日本には、眩し過ぎるのかもしれませんね。

奇妙なホラー映画論

 

ホラー映画を論じた面白い本を読みました。

「ジョジョの奇妙な冒険」で知られる、漫画家の荒木飛呂彦さんが書いた「奇妙なホラー映画論」(集英社新書)です。

 

荒木さんはホラー映画が大好きだそうで、1970年代以降のモダンホラー映画を、独自の論で、愛いっぱいに解説しています。

なかでも、ゾンビ映画への思いが強いようで、ページ数を大きく割いて、巻頭で論じています。

「ゾンビの本質とは、全員が平等で、群れて、しかも自由であることで、そのことによってゾンビ映画は”癒される”ホラー映画になりうるのです」なんて、面白い見かただと思いませんか?

項目立ても興味深く、”ゾンビ映画”のほか、”田舎に行ったら襲われた系ホラー”、”ビザール殺人鬼映画”、”スティーブン・キング・オブ・ホラー”、”SFホラー映画”、”アニマルホラー”、”構築系ホラー”、”不条理ホラー”、”悪魔・怨霊ホラー”、”ホラー・オン・ボーダー”という形で、ホラー映画を分類しているんです。

荒木さんお薦めの映画が、その理由とともに沢山列挙してあり、幾つかの作品はもう一度見直してみたくなりました。

(ほとんどのホラー作品を見ていた事実に、自分でもビックリ!)

ホラー映画が好きな方は勿論、嫌いな方にこそご一読頂きたい本だと思います。

今年の夏は、ホラー映画の公開は少ないようです。

この本で解説してある過去の名作ホラーに触れて、是非、この夏を涼しく過ごして下さいね。

小松左京先生逝く...

 

日本を代表するSF作家の小松左京先生が、肺炎のため、26日に大阪府箕面市内の病院で死去していたことが分かりました。

80歳でした。

小松先生は、京都大学でイタリア文学を専攻後、1962年に「SFマガジン」へ作品を投稿し、作家デビューしました。

1964年には、廃虚で鉄を食う一族の生きざまを描いた「日本アパッチ族」で一躍人気作家となり、同年、細菌兵器をテーマとした「復活の日」を発表し、人気を不動のものとしました。

1973年には、大作「日本沈没」を発表し、400万部を超える大ベストセラーとなりました。

1985年にも、「首都消失」がベストセラーとなり、再びSFブームを巻き起こしました。

好奇心と行動力を兼ね備えた方で、1984年には、自作「さよならジュピター」で映画製作にも乗り出したほか、短編や時代物など、ジャンルを問わず独自の世界を作りだしました(映画では、多額の赤字も創出したそうですが…)。

1970年の大阪万博ではプロデューサーを務めるなど、多くの国際的な企画に関わっています。

 

まさに、”巨星墜つ”!

本当に大きなショックです。

僕は、小学校6年の時、角川文庫の「継ぐのは誰か?」を読んで以来、小松先生の作品に夢中になりました。

何かに取りつかれたように、小松先生の作品を図書館で借りて読み漁り、当時文庫化されていた作品はすべて読破してしまいました。

 

小松先生の魅力は、何と言っても、そのエネルギーです。

読む者の体力を奪ってしまうほど、文章にパワーが満ち溢れています。

体調が悪い時に読むと、吹き飛ばされそうな勢いがあります。

物凄い圧力なのです。

描く世界も、近未来を予言するようなものばかりで、あまりのリアルさに、何度も恐怖を覚えました。

小松先生の悲観的な未来感から、僕は、相当影響を受けていると思います。

また、小松先生は、綿密な調査をしてから執筆される方だったようで、小説中のデータの量にも圧倒されます。

実は、科学的データの描写が長すぎて、疲れてしまったことも少なくありません。

「継ぐのは誰か」なんて、ストーリーは前半で終わってしまい、後半はその科学的検証だけを書き綴っているんです。

だから、長編の大作が多いのかもしれませんね。

 

ただ、時代とともに生きた作家だったためか、今現在は、その代表作すら、ほとんど出版されていません。

「地には平和を」「果てしなき流れの果に」「エスパイ」といった名作が簡単に手に入らないなんて、実に残念なことです。

また、大量に残されている短編も、ほとんどが眠ったままの状態です。

出版各社には、是非とも、復刊をお願いしたいと思います。

 

SFが一部のマニア向けのジャンルになってしまった今だからこそ、皆さんには、小松作品をお読み頂きたい!

現在活躍中のSF作家は、すべて、小松先生の子孫のようなものなのですから…。

広島学

 

商品の詳細

面白い本を見つけました。

新潮文庫から今月刊行された「広島学」です。

なぜ、広島人は独りよがりなのか?

なぜ、楽観的で、未来志向なのか?

なぜ、暴れん坊揃いなのか?

なぜ、起業家や発明家が多いのか?

などなど、広島県人特有の気質が、歴史的背景を踏まえて、論理的に説明してあります。

あの“ラテン系”のノリには、ちゃんとした理由があったんですね。

僕も、典型的な広島人ですが、思い当るところが沢山ありました。

また、僕の出身高校のことなども、事細かに書いてあります。

広島県出身者は勿論、広島県人の独特のノリに弱っている人にも、是非読んで頂きたいと思います。

税別で、552円とお手軽なのも、魅力です。

ちなみに、著者の岩中祥史さんは、「博多学」「札幌学」「出身県でわかる人の性格」という本も、お出しになっていますよ。

「ゴドーを待ちながら」を待ちながら

 

不条理演劇の最大にして最高傑作と言えば、サミュエル・ベケットの「ゴドーを待ちながら」以外、考えられません。

皆さんも、タイトルぐらいはお聞きになったことがあるかも知れませんね。

でも、実際に上演を目にしたり、脚本を読んだことのある人は少ないのではないでしょうか?

確かに、決して面白可笑しいモノではありませんし、むしろ難解な部類に入る作品です。

でも、僕にとっては、演劇の教科書のような作品で、その影響は測り知れません。

なにせ、大学の卒論の主査だった教授が、「ゴドーを待ちながら」の翻訳で知られる安堂信也先生だったぐらいですから…。

皆さんにも、一度脚本を読んで頂きたいとは思っていたのですが、白水社から発行されている単行本は2520円もしてしまいます。

なかなか気軽に買える値段ではありませんね。

 

それがそれが、比較的廉価で購入する機会が訪れました!

早川書房から出ている演劇雑誌「悲劇喜劇」5月号に、「ゴドーを待ちながら」の全文が掲載されているのです。

価格は1300円也!

しかも、翻訳は、岩切正一郎さんによる新訳です。

こんな機会を待っていた方も、大勢いらっしゃることでしょう。

不条理演劇に触れ合ってみたいという方は、このチャンスをお見逃しなく!

アウルクリーク橋の出来事

 

アンブローズ・ビアスの短編集『アウルクリーク橋の出来事/豹の眼』が、光文社古典新約文庫から発売されました。

皮肉に満ちた『悪魔の辞典』で知られるビアスですが、実は短編小説の名手でもあるんです。

芥川龍之介が、「短編小説を組み立てさせれば、彼ほど鋭い技巧家は少ない」と評したほどです。

芥川の代表作『藪の中』は、ビアスの『月明かりの道』の影響を強く受けています(ほとんど、そっくりですよ)。

岡本綺堂も、「ポーの二代目ともいふべきビヤース」と記しているように、欧米では、エドガー・アラン・ポーと並び評されるほどの作家です。

 

ビアス(1842‐1914?)は、アメリカのジャーナリスト、作家です。

オハイオ州の貧農の末っ子に生まれ、16歳から新聞植字工など、職を転々としました。

南北戦争(1861~65年)で北軍に志願し、激戦を経験。

除隊後、サンフランシスコの新聞・雑誌に投稿しはじめ、すぐに時評欄を任されました。

政治家・大実業家などに筆で挑み、その鋭さで「ビター・ビアス(辛辣なピアス)」と呼ばれるようになったそうです。

1880年代末には、妻との別居、長男の決闘による死と家庭の不幸が続きますが、創作面では「アウルクリーク橋の出来事」など代表的短篇を生み出しました。

 

僕は、中学生の頃、岩波文庫から出版されていた『ビアス短編集』を購入し、何度も繰り返し読んでは感銘を受けていた思い出があります。

しかし、それ以降、ビアスの作品集は、日本の書店から長らく姿を消していました。

ですから、ビアスの短編の素晴らしさをご存じの日本人は、ほとんどいないのではないでしょうか?

それだけに、皆さんには、是非、今回の新訳をお読み頂きたいですね。

 

ビアスの作品は、ほとんどが、”死”をテーマにしています。

ある男が、橋の上で絞首刑になろうとしていた。足元の板が外され、川に落ちた彼が、敵の銃弾を逃れてたどり着いたのは…。

森に住む女が、恋人からの求婚を頑なに拒んだ理由とは…。

ねっ、面白そうでしょ?

文体が古くて読みにくいかもしれませんが、頑張って読むと、素晴らしいラストが待っています。

ぷにぷにパイレーツのルーツとも呼べる作家です。

ご一読を!

モルジアナ

 

本当なら、今日は朗読会の本番の日でした。

返す返すも、「アリババと40人のどろぼう」をお聞かせ出来なくて、残念です。

 

ところで、皆さんは、「アリババと40人のどろぼう」のお話をご存知ですか?

アリババが「開け、ごま!」というシーンは有名ですけど、その後どうなるか、分かります?

このお話は、知名度の割には、意外に結末を知られていないようなんですよね。

 

実は、「アリババと40人のどろぼう」は、「開け、ごま!」以降のシーンの方が長いし、面白いんですよ。

特に、女奴隷・モルジアナが登場してから、急に話が盛り上がっていきます。

全編通して読むと、主人公はモルジアナに思える程の大活躍をするのです。

むしろ、話の後半を中心に味わって頂きたいぐらいです。

童話好き、読書好きの皆様!

是非、一度、「アリババと40人のどろぼう」をお読みになることをお薦めします。

「シアター!」

 

商品の詳細

演劇に興味のある皆さんにお薦めしたい本があります。

ベストセラーを連発されている人気作家・有川浩さんの小説「シアター!」です。

「シアター!」の粗筋は、こんな感じです。

 

小劇団「シアターフラッグ」は、300万円の負債を抱え、解散の危機が迫っていた。

主宰の春川巧は、兄の司に泣き付く。

司は、巧にお金を貸す代わりに、「2年間で、劇団の収益から、この300万を返せ。出来ない場合は、劇団を潰せ!」という厳しい条件を出した…。

 

とても読みやすい文章だし、ストーリーも面白いので、シンプルに読み物としてお薦め出来る小説です。

それに加えて、小劇団の実状を、現実に即して過不足なく描き切っています。

特に、劇団運営上の経済的側面は、かなり正確な数字が提示されていると思います。

有川先生は、「シアター!」を執筆するに当たり、”Theatre劇団子”に密着取材されたそうです。

 

「シアター!」を読んで頂ければ、劇団を続けていくのがいかに大変かが、ご理解頂けると思います。

ただ公演を実現するだけでも死ぬ思いなのに、面白い舞台を作るなんて奇跡に近いことなのだということが、きっと、お分かり頂けることでしょう。

経済の状況が悪化し続ける今の日本では、小劇団の存続は、まさに風前の灯…。

時代に合った、新しい劇団の在り方を模索していかなくてはならないのではないでしょうか?

 

「シアター!」は、メディアワークス文庫から、610円(+消費税)で発売されています。

ぜひ、ご一読を!

モーリス・ルヴェル

 

皆さんは、モーリス・ルヴェルという作家をご存知ですか?

僕は、これまで、全く知りませんでした。

このほど、ルヴェルの作品集を、たまたま手にしました。

読んでみたら、これは素晴らしい!

まず、シンプルにストーリーが面白いです。

また、文章の組み立て方が実に見事です。

そして何より、ラストの余韻の作り方は、圧倒的なものが感じられます。

是非とも、作風を真似したい作家ですね。

なぜ、日本で知名度が低いのか、不思議なぐらいです。

 

ルヴェルは、「フランスのエドガー・アラン・ポー」と呼ばれているそうです。

確かに、表面的には、ポーのような不気味な面も感じ取れます。

しかし、その奥には、モーパッサンやO.ヘンリーの作品に見られるようなヒューマニズムが、しっかりと感じられます。

探偵小説の脈で語られることが多いようですが、純文学として評価した方が相応しいように思います。

孤独、寂寥、人生の虚無等を、原稿用紙20枚程度の短い文章の中に、描き切っています。

僕も、かくありたい!

 

皆さんにも、ルヴェルの作品を、是非、お薦めします。

ただ、20世紀初頭の田中早苗さんの翻訳しか手に入らないので、少し読みにくいのが難点ですが…。

暑い夏を涼しくする、グロテスクなコントも沢山ありますよ!

フランツ・カフカ

 

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「カフカの作品を思い出しました!」

「カフカの“変身”を読み直してみたくなりました!」

”ぷにぷに印象派祭り”のアンケートに、こんなことが書いてありました。

複数の方がそうおっしゃるのですから、きっと、そんな雰囲気があったに違いありません。

しかし、僕がカフカの作品を読んだのは、もう30年近く前のことです。

今更、急に、その影響が出てくるとも思えません。

そこで、昨日、カフカの「変身」を買ってきました。

本当に久々に読み直している所です。

30年振りとはいえ、結構覚えているものですね。

かなり細かい部分まで、詳細に記憶していました。

(勿論、大半は忘れていますが…)

なんだか懐かしいような気分で、ワクワクしながら読み進めています。

 

それにしても、”ぷにぷに印象派祭り”のどこが、”カフカ風”なのでしょうか?

作者の僕には、全然分からないのですが…。

ハロルド・ピンター

 

ハロルド・ピンター全集

昨日、ハロルド・ピンター全集を購入しました。

全3巻で、9450円です。

「部屋」「料理昇降機」「管理人」「誰もいない国」など、初期から中期にかけての代表的戯曲に加え、短篇とエッセイが採録されています。

ピンターは、日常の不条理を乾いた笑いを交えた斬新な言葉で描き、現代人の混乱と空虚を突いたイギリス現代演劇の鬼才と呼ばれています。

斬新なことば、独特の間と沈黙、乾いた笑い…。

「ピンタレスク」とよばれる独特の手法で、引き裂かれた現代人の不安な魂を、恐怖とユーモアのうちに描き出します。

説明的なセリフを嫌い、敢えて観客には(しばしば登場人物にとっても)状況が理解しづらい劇を作っています。

しっかりした目的に向かって話が進むのではなく、「キャラクターが一人歩きする」のです。

2005年にノーベル賞を受賞しましたが、医者にブラジル先住民の風土病である重度の皮膚疾患に感染していると診断され、授賞式に出席できなかったというエピソードが残っています(ピンターは、ブラジルに一度も行ったことはありません)。

反戦思想の持ち主で、NATOによるユーゴスラビア空爆や、アメリカ合衆国によるアフガニスタン空爆に抗議し、ブッシュ政権のイラク侵攻をナチス・ドイツのアドルフ・ヒトラーに例えたこともあります。

まさに、社会派不条理劇の大家です。

 

この度、「ハロルド・ピンター全集」を購入したのは、「ぷにぷに印象派祭り」がきっかけです。

英米演劇を専門とされている、元・大学教授の方が、「ぷにぷに印象派祭り」をご覧下さいました。

僕が最も尊敬し、憧憬の念を抱いている劇作家、アーサー・ミラーの翻訳などもなさっている方です。

その先生が、僕の作品を見て、「石崎さんって、才能のある方ですね。ハロルド・ピンターやエドワード・オールビーの不条理劇に良く似ています」との感想を洩されたんだそうです。

プロの演劇の研究家の方にお褒め頂いて、こんな嬉しいことはありません。

それも、僕が目標としている2人の偉大な劇作家に譬えて頂けるなんて、光栄至極です。

ピンターやオールビーに一歩でも近付けるように、益々、努力していきたいと思っています。

 

その第一歩として、ピンターやオールビーの作品を、研究することにしました。

今、ピンターの代表作を手に入れるには、全集を買うしかないんですよね。

結構高額でしたが、中途半端な本をパラパラ読むぐらいなら、徹底的にピンターに浸った方が勉強になると思いました。

これから、じっくりと、ピンターの作品から学んでいくつもりです。

ヴァレンタイン・チョコ

 

一昨日のワークショップで使うテキストとして、ごく短い脚本を書きました。

「ヴァレンタイン・チョコ」というタイトルで、高校生の男女が登場する淡い恋の物語です。

あくまで演技の練習用に作ったものですが、実際に若い男女に演じて貰うと実に良かったですね。

色々演技指導を施していくうちにどんどん雰囲気が出てきました。

最後には、作者の僕ですら、女性のラストのセリフで胸がキュンとなる程でした。

やっぱり、演技って大切ですね。

ちょっとした体の使い方で、作品の印象がまったく変わってしまいます。

そのコツを少しでもお伝え出来たのなら、嬉しいです。

 

「ヴァレンタイン・チョコ」は、思いの外、魅力的なものだったので、いつか舞台にも掛けてみたいと思っています。

SF

 

作劇の参考になればと、アマゾンで沢山本を買ってしまいました。

オンライン書店って、いけませんね。

芋蔓式に、どんどん欲しい本が出てきてしまいます。

 

今回は、約20年前に発行されたSFの全集を、まとめ買いしてしまいました。

もうお小遣いがありません!

今月は、演劇鑑賞の数を減らさなくてはいけません。

じっくりSFの勉強をさせて頂きます。

実は、近い将来、「ぷにぷにSF祭り」を開催するつもりです。

すでに4~5本、SFの脚本を書き終えているのです。

舞台ならではのSFのあり方を探るべく、研究していきたいと思っています。

「スポンサーから一言」

 

昨日、書店に行ったら、嬉しい悲鳴を上げそうになりました。

子供の頃愛読した本や、読みたかったのに買うタイミングを逸して入手できなかった本が、ずらりと書棚に並んでいたのです。

これは、東京創元社が、品切れ中の文庫作品を対象として毎年開催している“復刊フェア”によるものです。

今年の復刊フェアは、東京創元社の「文庫創刊50周年」を記念し、読者からリクエストを募って銘柄を決定したんだそうです。

ミステリーやSFファンの方が、そのラインナップをご覧になると、僕と同様、卒倒されると思いますよ。

エラリー・クイーン編『犯罪文学傑作選』●新カバー

シャーロット・アームストロング『あなたならどうしますか?』●新カバー

フリーマン・W・クロフツ『ギルフォードの犯罪』●新カバー

ロジャー・スカーレット『エンジェル家の殺人』

ジャック・フットレル『思考機械の事件簿I』

ロバート・ブロック『アーカム計画』

フレドリック・ブラウン『スポンサーから一言』

ロバート・A・ハインライン『ダブル・スター』●新カバー

ジェームス・G・バラード『永遠へのパスポート』

フィリップ・K・ディック『死の迷路』

どうです、どうです!

凄いでしょう!

凄さが分からないという方は、このサイトで確認してみて下さい。

http://www.tsogen.co.jp/np/archive/fair/2009082701

 

僕は、早速、「あなたならどうしますか?」「スポンサーから一言」「永遠へのパスポート」の3冊を購入しました。

中でも、「スポンサーから一言」は、僕が小学校5年生の時に、生まれて初めて買った文庫本です。

僕の劇作に多大なる影響を与えていることは、間違いありません。

ショートショート集ですけど、いまだにほとんどの作品の内容を記憶しているぐらいですから。

その本を紛失して以来、ずっと探してきましたが、品切れ状態が長く続き入手することが出来なかったのです。

嬉しいったら、ありゃしない!

今、1話1話、じっくりと味わいながら読んでいるところです。

 

今回復刊された本は、全て買う予定です。

文庫本なのに、1冊1000円を超えるものもあり、少々高いのですが、外れなしのこのラインナップなら買うしかありません!

お小遣い、大ピンチ!

ストーリー・セラー

「図書館戦争」などのヒット作で知られる有川浩(ありかわ・ひろ)さんの中篇小説「ストーリー・セラー」を拝読しました。

さすがは人気作家です。

とても読みやすく、面白い小説でした。

 

しかし、結末の部分を読んでビックリしました。

僕が、「ぷにぷに号泣祭り」で上演する「日記」という作品のラストに、よく似ているのです。

ストーリーそのものが違うので、皆さんには、その酷似ぶりが分かりにくいかもしれません。

粗筋は似ても似つかないものですから。

ただ、「読者(演劇の場合は観客)を、こういう形で泣かせたい」という手法が、実にそっくりなのです。

構造が似ているということなんですが、ご理解頂けないですよね。

野球で言えば、インコースに速球を投げておいてから、アウトコースにゆるい変化球を投げてバッターを打ち取るといった、組み立ての部分が似ていると感じたのです。

要するに、泣かせる話にも、投手の配球にも、一定のパターンがあるということでしょう。

皆さんも、「日記」をご覧になった後に、機会があったら「ストーリー・セラー」をお読みになってみて下さい。

きっと、何か感じて頂けると思います。

 

「日記」という作品は、僕としては、ひたすら泣ける作品として作ったつもりです。

稽古していても、時々自分で、ジーンとしてしまいます。

でも、ただむやみに悲しい話ではありません。

見終わった後、人に優しくしたくなるようなイメージで書きました。

むしろ温かいお話だと思います。

演出の特長として、動きが小さいことが挙げられます。

なにせ、足を動かすのは、たった1回ですから…。

小劇場演劇としては、異例の演出だと思います。

どんなものになるのか、是非、劇場でご確認下さい!

花模様が怖い

 昨日、僕のお気に入りの大型書店に、本のまとめ買いに行きました。

僕は、お酒も飲まないし、ギャンブルも一切やりません。

ほとんど道楽らしいことはしないんですけど、本と芝居にだけはお金を惜しみません。

昨日も、僕の会計の際に後ろに行列が出来るぐらい、沢山買ってしまいました。

本は、見つけた時に買っておかないと、後で探すのは至難の業です。

気になるものは無理しても買うようにしています。

 

昨日の最大の収穫をご紹介しましょう。

ハヤカワ文庫の棚を見ていたら、平積みになっている中に「花模様が怖い」という本を発見しました。

それには「片岡義男コレクションⅠ -謎と銃弾の短編ー」という副題が付いています。

そうです!

僕がずっと探していた、片岡義男さんのハードボイルド作品の短編が再編集されて、文庫本として発行されたのです!

これは実に嬉しい驚きです。

片岡さんの恋愛小説は、今でも比較的入手は簡単です。

しかし、超暴力的で過激なハードボイルド&ヴァイオレンス作品は、近年いくら探しても見つけることが出来ませんでした。

 

僕が中学生の頃、片岡さんの短編集は角川文庫で沢山読むことが出来ました。

勿論僕は、それらを取り付かれたように読みまくり、確か全巻制覇した記憶があります。

そのスタイリッシュでクールな文体に憧れ、普段文章を書くときも、片岡さんの小説を真似したものでした。

今の僕の脚本の文体も、多分に片岡さんの文章の影響が見られると思います。

というより、積極的に影響を受けようと思って頑張っているところです。

 

そんな矢先に「花模様が怖い」を見つけられたのは、ラッキーでしたね。

昨夜、あっという間に300ページ以上読んでしまいました。

本当に素晴らしい短編集です。

池上冬樹さんが選んだ作品集ということで、池上さんの個性も十分反映されていて、かなりユニークなチョイスになっていると思います。

ストーリーの好き嫌いがはっきり出る作品群です。

でも、文章を味わうだけでも価値があると思います。

興味のある方は、この機会に是非お読み下さい。

 

「片岡義男コレクションⅠ」と銘打たれているということは、ⅡやⅢも続々発行されるのでしょうか?

今からすごく楽しみです。